Multifunctional Role of PRIP lnvolved in Dynamic Regulation of GABAA Receptors

現代社会の加速度的な技術革新や高度情報化の波は, 現代人 にきわめて強いス トレスを与 え,処 方される抗不 安薬などの使用量は,増加の一途 をた どっているという。 現在,臨 床で頻用される抗不安薬の1つ に,ベ ンゾジア ゼ ピン系 の薬物 が ある。 この薬物 は,γ-ア ミノ酪酸 (GABA)を トランス ミッターとする抑制性神経伝達を 増強することで,そ の薬理作用(抗 不安作用)を 発揮す る。またGABA受 容体の異常は,不 眠 ・不安 ・緊張 ・け いれん ・てんかんなどのさまざまな病態 を引き起 こす こ とが知 られ,GABA受 容体の正常な働 きは,複 雑な脳・ 精神機能を形成する分子的基盤の重要な一角をな してい る。すなわち,GABA受 容体を含めた抑制性 シナプス構 築の分子メカニズムを解明することは,人 間の情動 ・精 神活動 を理解するうえで非常に重要である。 最近,GABAA受 容体の構築や輸送にかかわ る分子 の 報告が相次いでお り,そ の分子基盤を解明する機運が高 まっている。われわれは,当 教室で発見 したイノシ トー ル1,4,5-三 リン酸[Ins(1,4,5)P3]結 合性 タ ンパ ク質 (PRIP-1)が,GABAA受 容体の情報伝達系を調節する分 子でもあることを最近明 らかに した。本稿では,PRIP-1 発見からGABAA受 容体の構築や輸送にPRIP-1が いか にかかわるか,こ れまでの知見 と今後の展望についてま とめる。 新 しいタンパク質ファミリー(PRIP)の 発見