Surgical treatment and botulinum toxin therapy

Abstract

手術の適応 となる斜視を考える前に、まず、 手術を必要としない、あるいは第一と考えない 斜視1)を挙げてみると、大まかには以下の4つが 考えられる。 (1) 屈折矯正で眼位を矯正する内斜視 屈折性調節性内斜視や高AC/A比 による非屈 折性調節性内斜視は、眼鏡による屈折矯正で眼 位が矯正できる内斜視である。 (2) プリズムでの眼位矯正が可能な斜視 輻湊麻痺、開散麻痺、水平偏位 と上下偏位の 合併した神経麻痺、斜視手術によって過矯正や 低矯正になったものなどは、プリズムで眼位を 矯正することが可能な場合がある。 (3) 薬物治療で治す神経炎、筋炎、重症筋無力 症などの斜視 薬物療法の適応となる斜視とは、副腎皮質ス テロイ ド剤や抗生物質で治療する麻痺性斜視 (後述のようにA型 ボツリヌス毒素でも治療す る)や 外眼筋炎、抗 コリンエステラーゼ薬など で治療する重症筋無力症、原因療法をまず第一 に考える甲状腺眼症などがある。 (4) 視能矯正 ・訓練の適応 となる斜視 斜視に対する視能矯正 ・訓練の目的は、小角 度の斜視に対 して眼位を保持させたり、両眼視 機能を維持 させたりすることであり、適応とし ては網膜対応の異常、抑制のある斜視である。 すなわち、上記の もの以外の斜視は手術の適