Considering “smell” from Electroencephalography Study

T. Kodama
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Abstract

ヒトの脳は,長い進化の過程の中で,古い脳の上に新しい 層を積み重ねて作られてきた.そこには,ヒトならではの手 を使った巧緻動作や二足での歩行動作といった,複雑な動き を可能にするための幾度とない挑戦があったからであると いえる.この複雑な脳の進化は,単に感覚入力と運動出力を 結び付けることだけで成し得たものではない.絶え間ない 外界からの様々な感覚情報に対応しながら,それらを捉え, 情動や感情を基盤に意思や思考,創造を発動させることで発 達させてきた.脳に入力された感覚情報を適切に統合し組織 化していく処理過程を感覚統合というが,この感覚統合には どのような感覚情報が入力されるかが重要となり,それに よって出力応答内容が変化する.中でも,嗅覚は,感覚系に おいて特に個体の行動と密接に関連する感覚情報とされ, ヒトの創造性を広げ生活を豊かにする可能性をもつものと 考えられている.元来,ヒトの嗅覚は,視覚や聴覚といった 主感覚とは違いむしろ従感覚的な役割と考えられてきた. しかし,このヒトの嗅覚は,八千万種以上の匂いを識別し, 視覚や聴覚,触覚(体性感覚)などの他の感覚が機能しない 状況下でも,常に機能している.そして,これら他の感覚が 薄らいでしまったあとでも,匂いは頭の中に記憶として残っ ている.匂いと脳の関係について,進化論的には,左右大脳 半球は,嗅球や嗅索などから成る嗅葉といわれる旧皮質領 域が発達したものであるとされている.海のような水の中 でも働かせることのできる嗅覚器官は,いわば遠方探知器の 受信装置のようなものともいわれており,海の中での進化と ともに,必然的に匂いに関連する脳領域が最初に発達した とされる. ヒトの第一次嗅覚皮質野は,側頭葉内側部に存在している が,発生学的には古皮質であり三層構造となっている[1]. 嗅内皮質は,同じく古皮質である記憶や学習に携わる海馬へ 情報を伝達し,情動反応の処理や記憶固定に携わる扁桃体へ と伝えられる.そのため,匂いが単に物理的な感覚情報で あれば,匂いの感じ方には個人差が生じないはずであるが, 実際には同じ濃度の匂いであっても感じ方は異なる.多く の研究から,質と強度が匂いを決める要素として明らかに なればなるほど,感受性の異なるヒトにおいてはその影響 を客観的に結論付けることが難しくなる.匂いが,他の 感覚に比べ短い神経伝達プロセスで処理され,新皮質の 担う高次機能と旧古皮質の担う記憶や情動が関連しながら 処理されていくことを考えると,これらのメカニズムを 解明するためには,ヒトそれぞれの一瞬一瞬における心や 意識といった領域にも踏み込んで考える必要性がある. そのためには,匂いの心象や官能的側面の評価のみならず, 刻一刻と変動する匂いの影響を受けた脳の活動状態を, いかにリアルタイムに捉えるかが,匂いの本質的な評価と なるのではないかと思われる.本稿では,まず匂いが脳内で どのように処理されていくのかついて概説し,近年,飛躍 的に発展を遂げてきた非侵襲脳機能計測法である脳波解析 を用いた匂いの研究を中心に,脳は匂いをどのように捉え ているのかについて考えてみる.
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从脑电图研究中考虑“气味”
人类的大脑在漫长的进化过程中,在旧大脑的基础上不断积累新的层而形成。其中包括人类特有的利用手的工致动作和用双脚行走的动作等复杂的动作。这可以说是经过了无数次的挑战才得以实现的。这种复杂的大脑进化,并不是仅仅通过将感觉输入和运动输出相结合就能实现的。在应对来自外界的各种感觉信息的同时,捕捉这些信息,并以情绪和感情为基础发动意志、思考和创造,使其发展。将输入到大脑的感觉信息进行适当的统合和组织的处理过程被称为感觉统合,在这种感觉统合中输入什么样的感觉信息是很重要的,因此输出响应内容会发生变化。其中嗅觉在感觉系统中被认为是与个体的行动密切相关的感觉信息,被认为具有扩大人的创造性,丰富人的生活的可能性。人类的嗅觉原本与视觉、听觉等主感觉不同,而被认为是从感觉的作用。但是,人类的嗅觉能识别八千万种以上的气味,即使在视觉、听觉、触觉(身体感觉)等其他感觉无法发挥作用的情况下,气味也会一直发挥作用。而且,即使在其他感觉变淡之后,气味也会作为记忆留在头脑中。关于气味和大脑的关系,从进化论的角度来看,左右大脑半球是由嗅球和嗅索等组成的被称为嗅叶的旧皮质区域发展而来的。在海水中也能工作的嗅觉器官,也可以说是类似于远方探测仪的接收装置,随着在海洋中的进化,与气味相关的大脑区域必然最先发达起来。人类的第一嗅觉皮质区位于颞叶内侧部,在发生学上属于古皮层,有三层结构[1].内嗅皮层将信息传递给同为古皮层的负责记忆和学习的海马,再将信息传递给负责处理情绪反应和固定记忆的杏仁核。因此,气味只是单纯的物理感觉信息。如果有的话,对气味的感受应该不会产生个人差异,但实际上即使是相同浓度的气味,感受也会不同。从大量的研究来看,越是明确质和强度作为决定气味的要素,对于感受性不同的人来说客观地得出其影响的结论就越困难。与其他感觉相比,气味是由较短的神经传递过程进行处理的,新皮质负责的高级功能与旧皮质负责的记忆和情绪相关联进行处理。为了阐明,有必要深入思考每个人每一瞬间的心和意识等领域。为此,不仅要对气味的心象和官能性侧面进行评价,如何实时捕捉受每时每刻变动的气味影响的大脑活动状态,才是对气味的本质评价。本文首先概述气味在脑内是如何被处理的,并以近年来取得飞跃性发展的非侵入性脑功能测量法——脑波分析为中心,对气味进行研究。试着思考有没有。
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