Catastrophic stress and cardiac events after Hanshin-Awaji earthqueke: ―阪神・淡路大震災ストレスと心筋梗塞の発症―
T. Matsuo, K. Kario, Shunji Suzuki
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Abstract
平成7年1月17日 未明に発生した阪神 ・淡路大震災は, 直接的な人的物的被害を始め, 被災地域の住民に強いス ト レスを与えた. 特に, 震源地に近い淡路島津名郡では, 北 淡町を中心に多大の人的物的被害が発生した. 地域住民が 被ったス トレスは, アメリカ精神医学会発行の 「精神障害 の診断 ・統計マニュアル(DSM-III-R)」 によれば, 今回の 地震の心理的社会的ストレスの強さは, 6段 階評価で破局 的ス トレスに該当する. 今回の震災で, さらに配偶者の死, 重症の外傷を含む極度のス トレスを経験した被災者も少な くない. 淡路島全域 をカバーする本院の救急センターで は, 震災直後の外傷を中心とした外科的救急患者が一段落 すると, 被災地からの内科的疾患の搬送が増加 した. 急性心筋梗塞の増加は著明で, 過去3年 間の同時期の患 者発生数 と比較 して約3倍 の増加であった(Fig.1)1). 心筋 梗塞患者の リスクファクターを震災前の患者 と震災後に発 生した患者で比較すると, 男女比(前9:4 vs. 後7:8), 年 齢(66±4 vs. 73±3), コレステロール(202±19 vs. 186± 12mg/dl),中 性脂肪(84±16 vs. 127±15), HDLコ レステ ロール(42±4 vs. 39±4)と 有意差はなかったが, いずれ も高齢者からの発症であった. しかし, post-mental trauma stress scoreを面接調査すると, stress scoreは加齢 とは関係 なく, 性差があ り, 女性が男性に比較 して有意の高得点を 示 した ことから, 女性がス トレスに対 して感受性が強い結 果が得 られた2). 地震によるス トレスが, 引金 となって心筋 梗塞が増加することは, 1994年 のカリフォルニアのノース リッジ地震でも経験 されている3). 強い情動ス トレスが引 金 となって, 高齢者女性に心筋梗塞がおこることはまれで なく, 日常診療においても認められている4). 津名郡医師会の死因調査によれば, 地震後に突然死を含 めた高齢者の心臓死が増加している. 特に, 心臓死は人的 物的被害の大きかった町に顕著で, 北淡町では31%の 家屋 が倒壊し, 34%の 住民が避難所での生活を余儀な くされて いる. その結果, 心臓死は約2倍 に増加 し, その特徴 とし て夜間に発症している. これは, 震災のス トレスに加えて, 避難所での生活や余震による恐怖のため, 十分な睡眠が得 られていない結果であると結論されている5).
Catastrophic stress and cardiac events after Hanshin-Awaji earthqueke:—阪神·淡路大地震压力与心肌梗塞的发病—
平成7年1月17日凌晨发生的阪神淡路大地震,以直接的人力物力损失为首,给受灾地区的居民带来了强烈的压力。特别是在震中附近的淡路岛津名郡,以北淡町为中心发生了巨大的人力物力损失。根据美国精神医学会发行的《精神障碍诊断·统计手册(DSM-III-R)》,此次地震的社会心理压力强度为:这相当于6段评价中的破局性压力。在此次震灾中,还有不少灾民遭遇了包括配偶死亡、严重外伤在内的极度压力。覆盖淡路岛全境的本院急救中心在震灾后以外伤为主的外科急救患者告一段落后,增加了从灾区运送的内科疾病。急性心肌梗死增加明显,与过去3年同期患者发病数相比增加了约3倍。将震前患者和震后患者的心肌梗塞风险因素进行比较,男女比例(前9:4 vs.后7∶8),年龄(66±4 vs. 73±3),胆固醇(202±19 vs. 186±12mg/dl),中度脂肪(84±16 vs. 127±15),与HDL胆固醇(42±4 vs. 39±4)无显著性差异,均为老年人发病。面试调查post-mental trauma stress score后发现,stress score与年龄无关,有性别差异,女性与男性相比得分显著高于男性,因此得到女性对压力感受性较强的结果2).1994年加利福尼亚的北岭地震也曾发生过由于地震造成的压力而导致心肌梗塞增加的情况。由于强烈的情绪压力,老年女性发生心肌梗死的情况并不少见,在日常诊疗中也被认可。根据津名郡医师会的死因调查,包括地震后突然死亡在内的老年人心脏死亡正在增加。心脏死亡在人力、物力损失严重的城镇尤为明显,北淡町有31%的房屋倒塌,34%的居民被迫在避难所生活。结果,心脏死亡增加了约2倍,其特征是夜间发病。据结论,这是由于震灾的压力,加上避难所生活和余震的恐惧,导致睡眠不足的结果。
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