{"title":"用滚动游戏式实验报告进行珊瑚及珊瑚礁保育环境教育","authors":"Nami Okubo, H. Ono, R. Kuraishi","doi":"10.5647/jsoee.28.3_77","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"環境教育において、自然やそこに暮らす生き物に直接 触れることのできる現地体験型実習は、景観の素晴らし さやそこに生息する生き物を保全したいという感情を育 み、人間の感性に訴えかけるという点で、幼児から大人 にまで一定の効果が見られる教育方法である(降旗 2009)。しかし、日本の多くの教育機関は、時間や場所 や予算といった物理的な制約から現地体験型実習を行う ことが難しい。特に、高校・大学といった高等教育機関 では、生物系の学部に属する学生以外には、生物が一般 教養選択科目のひとつでしかないことから、生物学教育 や環境教育を受けさせる機会すら少なくなる。例えば、 生物多様性の高いことで知られるさんご礁は、様々な生 態系サービスを与える日本の重要な資源であるが(大久 保 2016)、その学習について、jeconet, taxaといった生 物学系MLを使い、各教育機関での実施状況をアンケー トしたところ、沖縄以外の高等教育機関でさんご礁やサ ンゴについての現地体験型実習を行ったことがあるの は、龍谷大学、東京大学、慶應義塾大学の人文社会系学 部の3件であった。環境を保全するためには、自然の少 ない都会でその素晴らしさを理解できるような教育を広 げる必要がある。そのためには、現地体験型だけでなく、 自然から離れた場所(遠隔地)において自然や生き物に ついて深く考えられる遠隔地体験型教材の開発が期待さ れる。加えて、現地や遠隔地での体験型実習の後、環境 保全やその課題について論理的に思考するためのプログ ラムも必要だ。その理由は、防災や経済開発の名のもと に相も変わらず続く自然破壊にある。例えば、東日本大 震災以降、既に住民が高台に移転しているにも関わら ず、経済的合理性のない不必要な防潮堤を建設したり (大沼 2015)、川の両岸が全てグレイインフラで整備さ れたりと、東北の沿岸地域では、防災という名の下に貴 重な自然環境が破壊され続けている。同様に、沖縄県の 泡瀬干潟では、人工ビーチ等レジャー施設を建設するた めに、希少な自然の干潟が埋め立てられ、その代償とし て、環境保全措置という名のもとに効果のみられないサ ンゴや藻場の移植事業が行われている(大久保 2014, 2017)。平成24年に出された高等学校の学習指導要領で は、「日本の自然環境の恩恵や災害など自然環境と人間 生活とのかかわりについて考察する」「持続可能な社会 の形成が求められる現代社会の諸課題を探求する活動」 といった項目が追加された。高等教育においては、情操 教育から一歩踏み出して、人々の生活と自然環境の保全 を両立できる着地点を“学生自らが考える”ための課題 が必要とされているのではなかろうか。 本稿では、自然から離れた都心の大学において、生物 の生活史を理解し、その生物が生息する環境の重要性や 人間活動との折り合いについて自ら考えられるような、 “遠隔地体験型”の環境教育実習プログラムの開発と実 践について報告する。研究対象とした慶應義塾大学で は、人文社会系学部の学生に実験を含む体験型の自然科 学系科目が選択必修なので、その授業を本プログラムの 実践に活用した。 材料とテーマはサンゴとさんご礁である。サンゴはさ んご礁を形成する刺胞動物門の動物であり、日本では沖 縄を中心とした暖かい海に生息する生き物である。教員 レベルでサンゴの生物学の各分野を体系的に学ぶことが 出来る教科書的冊子『特集 サンゴの生物学 上下』は 2016年に農文協より発売されたが、教材に関して遠隔 報告 遠隔地体験型実習プログラムの開発と実践:サンゴとさんご礁の環境教育","PeriodicalId":308853,"journal":{"name":"Japanese Journal of Environmental Education","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1900-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Environmental Education for Conservation of Corals and Coral Reefs Using Roll Playing Style Lab Reports\",\"authors\":\"Nami Okubo, H. Ono, R. Kuraishi\",\"doi\":\"10.5647/jsoee.28.3_77\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"環境教育において、自然やそこに暮らす生き物に直接 触れることのできる現地体験型実習は、景観の素晴らし さやそこに生息する生き物を保全したいという感情を育 み、人間の感性に訴えかけるという点で、幼児から大人 にまで一定の効果が見られる教育方法である(降旗 2009)。しかし、日本の多くの教育機関は、時間や場所 や予算といった物理的な制約から現地体験型実習を行う ことが難しい。特に、高校・大学といった高等教育機関 では、生物系の学部に属する学生以外には、生物が一般 教養選択科目のひとつでしかないことから、生物学教育 や環境教育を受けさせる機会すら少なくなる。例えば、 生物多様性の高いことで知られるさんご礁は、様々な生 態系サービスを与える日本の重要な資源であるが(大久 保 2016)、その学習について、jeconet, taxaといった生 物学系MLを使い、各教育機関での実施状況をアンケー トしたところ、沖縄以外の高等教育機関でさんご礁やサ ンゴについての現地体験型実習を行ったことがあるの は、龍谷大学、東京大学、慶應義塾大学の人文社会系学 部の3件であった。環境を保全するためには、自然の少 ない都会でその素晴らしさを理解できるような教育を広 げる必要がある。そのためには、現地体験型だけでなく、 自然から離れた場所(遠隔地)において自然や生き物に ついて深く考えられる遠隔地体験型教材の開発が期待さ れる。加えて、現地や遠隔地での体験型実習の後、環境 保全やその課題について論理的に思考するためのプログ ラムも必要だ。その理由は、防災や経済開発の名のもと に相も変わらず続く自然破壊にある。例えば、東日本大 震災以降、既に住民が高台に移転しているにも関わら ず、経済的合理性のない不必要な防潮堤を建設したり (大沼 2015)、川の両岸が全てグレイインフラで整備さ れたりと、東北の沿岸地域では、防災という名の下に貴 重な自然環境が破壊され続けている。同様に、沖縄県の 泡瀬干潟では、人工ビーチ等レジャー施設を建設するた めに、希少な自然の干潟が埋め立てられ、その代償とし て、環境保全措置という名のもとに効果のみられないサ ンゴや藻場の移植事業が行われている(大久保 2014, 2017)。平成24年に出された高等学校の学習指導要領で は、「日本の自然環境の恩恵や災害など自然環境と人間 生活とのかかわりについて考察する」「持続可能な社会 の形成が求められる現代社会の諸課題を探求する活動」 といった項目が追加された。高等教育においては、情操 教育から一歩踏み出して、人々の生活と自然環境の保全 を両立できる着地点を“学生自らが考える”ための課題 が必要とされているのではなかろうか。 本稿では、自然から離れた都心の大学において、生物 の生活史を理解し、その生物が生息する環境の重要性や 人間活動との折り合いについて自ら考えられるような、 “遠隔地体験型”の環境教育実習プログラムの開発と実 践について報告する。研究対象とした慶應義塾大学で は、人文社会系学部の学生に実験を含む体験型の自然科 学系科目が選択必修なので、その授業を本プログラムの 実践に活用した。 材料とテーマはサンゴとさんご礁である。サンゴはさ んご礁を形成する刺胞動物門の動物であり、日本では沖 縄を中心とした暖かい海に生息する生き物である。教員 レベルでサンゴの生物学の各分野を体系的に学ぶことが 出来る教科書的冊子『特集 サンゴの生物学 上下』は 2016年に農文協より発売されたが、教材に関して遠隔 報告 遠隔地体験型実習プログラムの開発と実践:サンゴとさんご礁の環境教育\",\"PeriodicalId\":308853,\"journal\":{\"name\":\"Japanese Journal of Environmental Education\",\"volume\":null,\"pages\":null},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"1900-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Japanese Journal of Environmental Education\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.5647/jsoee.28.3_77\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Japanese Journal of Environmental Education","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.5647/jsoee.28.3_77","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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