The Railways

今 回 のIEAで 最 も楽 しみに して いた の は,"鉄 道 の 人 間工学"と い うセ ッシ ョン に出席 して,ヨ ー ロッパ 各 国鉄 の人 間工 学 者た ち と意 見 を交換 す る こ とで あっ た. この セ ッシ ョンは,オ ランダ国鉄 の人 間工 学 ア ドバ イサ リー グル ー プのチ ー フを して い るロー クマ ー カー 博 士(Peter Rookmaaker)が 企画 した もので,昼 食 会 をは さんで2つ のセ ッシ ョンが7月18日(木)に 開 かれ た.午 前 の部 で はロー クマー カー博 士 自身が 座長 となって,筆 者 を含 む4人 が演壇 に立 ち,午 後 の部で はベ ル ギ ー のル ー ヴ ェ ン大 学 の フェ アへ 一 ヘ ン教 授 (Paul Verhaegen)が 座長 となっ て,座 長 自身の講 演 を含 む4件 の発表 が あ った.ま た,昼 食会 で はイ ギ リ ス,フ ランス,オ ランダ,ベ ル ギー,ド イ ツ,カ ナダ, 日本 の鉄 道 内外 で人 間工 学 の仕 事 に携 わ って い る11 人 の研究 者 が集 まっ て,お 互 いの仕事 や直 面 す る問題 につ いて活発 な議論 が かわ され た. 研 究発 表 の要 旨は次 の とお りで あ る. (1)列 車指令 室 にお け る異 常時情 報 の伝達 Francis Bourdon(フ ラ ンス国鉄) Eric Mageau(フ ラ ンス/ACMS) ビデオ録 画 と面接 調査 に基 づい て,フ ラ ンス の都市 近 郊電 車 を主 に扱 う指令 員の作 業負 担 を分析 した と こ ろ,現 状 の情報 システ ムは平常 時 に は適 当 であ るが, 異 常 時 には不十 分で,潜 在 的 に危険 で あ る と結論 づ け, 改 善策 を提 言 した. (2)衛 星 通信 を利 用 した移 動 閉 そ くの ため の 運転 台デ ィス プ レイ 芳賀 繁(鉄 道 総研) 畔畦弘行(JR東 日本)ほ か 衛 星 を使 った列 車制 御 シス テム にお ける運転 台 の視 覚 表示 デザ イ ンにつ いて,運 転 士の動 作分 析,エ ラー 分析 な どに基 づ いて検 討 し,統 合 デ ィス プ レイ システ ムを提 案 した. (3)列 車運転 士 の現状 Jean Foret(フ ラ ンス/サ ルペ トリエー ル病院) フ ラ ンス 国鉄 の運 転 士の現状 につ いて心 理学 者,人 間工 学者,生 理学者 な ど6名 か らな る委 員 会が調 査 し, 給与,労 働 時 間,労 働 内容 な どの 問題点 を指摘 した. (4)運 転 台 に おけ る情報 提示 Colete Weeda(オ ラ ンダ国鉄) 運転 台 に お ける情 報提 示 につい て,特 に,警 報 お よ び その内容 を知 らせ るた めの聴 覚情 報 とモ ニタ画 面 の デザ イ ンにつ い て研 究 し,モ ニタ画 面 の レイア ウ トに つ いての ガ イ ドライ ン を提 案 した. (5)機 関 士の ヴ ィジ ラ ンス低下 の検 出 Regis Mollard, Gerard Ignazi, P.Cabon (フラ ンス/ル ネ ・デカ ル ト大 学) 実験 室 内で行 わ れた単 調 な刺激 反応 の実 験 にお いて, 運転 士 の反 応 の乱 れ と,EEGに よ って測定 された意識 低 下の 間 に強 い相 関 を見 い だ した. (6)列 車運 転士 の ヴ ィジ ラ ンス ー再現 研 究一 Paul Verhaegen, M.Ascoop, R.Ryckaert (ベル ギー/ル ー ヴ ェン大学) 勤 務 スケ ジ ュール とヴ ィジラ ンスの 間の 関係 を検討 す るた め,1985年 に旅 客列 車 の運転 士37名,1988年 に貨 物 列車 の運 転 士34名 につ い て同様 な研 究 を行 っ た.そ の 結果,早 朝勤務 が続 く とエ ラーが増 え,睡 眠 の質 の低 下が起 こ るこ とが示 され たの で,3日 を超 え る連続 早朝 勤務 はす るべ きで はな い と結論 され た. (7)鉄 道 輸送:心 理学 と人 間 工学 の研究 Marie Mayerova(チ ェコス ロバ キア/工 科大 学) チェ コス ロバ キ ア国鉄 にお ける指令 員 の精神 的 ス ト レス につ いて検 討 した 結果,医 学的 ・心理 学 的 なケア をす るべ きで あ る と結論 した.ま た,心 身 症 の患者 に つい て も検討 して い る. (8)フ ランス 国鉄 に おけ る人間工 学 研究 の戦略 Philippe Muhlstein(フ ラ ンス国鉄) 1986年6月,フ ラ ンス国鉄 は人 間工 学研 究 のた めの セ ンター を設 置 した.そ の使命 は,各 部 局 の要請 に基 づ く研究 を行 い,部 外 の人 間 工学研 究 を調査 し,人 間 工学 に関 す る様 々 な要望 に答 える こ とで ある とい う.