A case report of oropharyngeal clear cell carcinoma with revised pathological diagnosis after multi-gene cancer panel testing

要 旨 標準治療が終了となった肺転移を伴う中咽頭癌患者に対して,がん遺伝子パネル検査を行った結果,扁平上 皮癌から明細胞癌に病理学的診断が修正された患者を経験したので報告する。症例は 57 歳,女性,中咽頭扁 平上皮癌,HPV 陰性,cT3N2bMX。シスプラチン併用放射線治療を施行したが,肺転移を疑っていた病変が 増大した。ニボルマブ投与を行ったが,肺転移は更に増大し,セツキシマブ+パクリタキセル投与を開始し た。その後,標準治療終了後の固形がんとしてがん遺伝子パネル検査を行った。治療対象となる遺伝子異常は 認められなかったが,EWSR1-ATF1 融合遺伝子が検出された。この遺伝子は唾液腺明細胞癌の 80 ~ 90%の 症例に検出される。この結果から,病理診断が扁平上皮癌から明細胞癌に修正された。後方視的に組織を確認 しても,明細胞癌の診断は困難であり,がん遺伝子パネル検査が診断修正の契機となった症例であった。