{"title":"用x射线荧光全息技术观察无铅压电材料中的原子位移","authors":"K. Kimura","doi":"10.5940/jcrsj.64.257","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"蛍光X線ホログラフィー(XFH)は,結晶内の特定元 素まわりの原子配列を三次元的に可視化できる手法であ り,1)1996年に初めて実証実験が行われて以来,2)ドーパ ントのサイトやクラスター構造の解析手法として発展を 遂げてきた.3)一方,ここ10年ほどの研究で,XFH 測定 で得られる原子像の強度や形状から物質内の原子変位 も精密に解析できることが明らかになり,4),5)原子変位の 新しい評価手法として注目されている.特に,原子変位 が物性発現のキーファクターとなる圧電体や強誘電体 への応用が急速に広まりつつある. 圧電体は,機械エネルギーと電気エネルギーを相互に 変換できる材料で,センサーやインクジェットプリン ターなどさまざまな用途で使用されている.現在,環境 負荷が高く人体に有害なPbを含むチタン酸ジルコン酸 鉛(PZT)が広く用いられていることから,これを代替 できる非鉛圧電材料の開発が急務とされている.非鉛圧 電体の中でも,ペロブスカイト構造を有するBaTiO3を ベースとした材料が近年盛んに研究されている.特に, (Ba,Ca)(Zr,Ti)O3(BCZT)は,約100°C以下の温度域 ではPZTを凌駕する圧電特性を示すことが知られてお り,6)現在,最も注目されている材料の1つである.BCZT の使用可能温度域の拡大や新たな非鉛圧電体の開発の ためには,高い圧電特性の起源を原子レベルで理解する 必要がある. BCZTにおいて,Aサイトを占有するCa2+イオンの半 径(1.34 Å)は,置換元のBa2+イオンの半径(1.61 Å)より も約17%も小さいため,Ca2+イオン周囲の局所構造は母 材のBaTiO3の構造とは大きく異なっていると考えられ る.そこで,著者らは元素選択的に三次元局所構造を導 出可能なXFHを,Caのみをドープした(Ba0.9Ca0.1)TiO3 に適用し,同じAサイトを占めるCaおよびBaまわりの 局所構造を区別して解析することで,両者に大きな違い があることを見出した.7)本稿では,その結果について紹 介する. 図1a,bに,大型放射光施設SPring-8のBL13XUにお いて実施したXFH測定によって得られたCaおよびBaま わりの原子像を示す.ここでは,図1cに示すように中心 元素であるCaもしくはBaを含む<001>面を再生して いる.図1a,bにある〇は,BaTiO3の結晶構造から予測 されるAサイトカチオンの理想位置に対応している.Ba まわりの原子像は,〇の位置の中央に観測されるのに対 し,Caまわりでは原子像が中央に向かって変位している ことがわかる.このことは,Caまわりで格子が局所的に 収縮していることを示している.これは,Caイオンの半 径がBaイオンよりも小さいことと符合している. 図2a,bには,図1a,bにおいて矢印で示した原子像を 拡大して表示している.CaおよびBaまわりにおいて,原 子像の位置だけではなく形状にも大きな違いがあること","PeriodicalId":74311,"journal":{"name":"Nihon Kessho Gakkai shi","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2022-12-15","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Atomic Displacement in Pb-Free Piezo-Electric Material Visualized by X-ray Fluorescence Holography\",\"authors\":\"K. Kimura\",\"doi\":\"10.5940/jcrsj.64.257\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"蛍光X線ホログラフィー(XFH)は,結晶内の特定元 素まわりの原子配列を三次元的に可視化できる手法であ り,1)1996年に初めて実証実験が行われて以来,2)ドーパ ントのサイトやクラスター構造の解析手法として発展を 遂げてきた.3)一方,ここ10年ほどの研究で,XFH 測定 で得られる原子像の強度や形状から物質内の原子変位 も精密に解析できることが明らかになり,4),5)原子変位の 新しい評価手法として注目されている.特に,原子変位 が物性発現のキーファクターとなる圧電体や強誘電体 への応用が急速に広まりつつある. 圧電体は,機械エネルギーと電気エネルギーを相互に 変換できる材料で,センサーやインクジェットプリン ターなどさまざまな用途で使用されている.現在,環境 負荷が高く人体に有害なPbを含むチタン酸ジルコン酸 鉛(PZT)が広く用いられていることから,これを代替 できる非鉛圧電材料の開発が急務とされている.非鉛圧 電体の中でも,ペロブスカイト構造を有するBaTiO3を ベースとした材料が近年盛んに研究されている.特に, (Ba,Ca)(Zr,Ti)O3(BCZT)は,約100°C以下の温度域 ではPZTを凌駕する圧電特性を示すことが知られてお り,6)現在,最も注目されている材料の1つである.BCZT の使用可能温度域の拡大や新たな非鉛圧電体の開発の ためには,高い圧電特性の起源を原子レベルで理解する 必要がある. BCZTにおいて,Aサイトを占有するCa2+イオンの半 径(1.34 Å)は,置換元のBa2+イオンの半径(1.61 Å)より も約17%も小さいため,Ca2+イオン周囲の局所構造は母 材のBaTiO3の構造とは大きく異なっていると考えられ る.そこで,著者らは元素選択的に三次元局所構造を導 出可能なXFHを,Caのみをドープした(Ba0.9Ca0.1)TiO3 に適用し,同じAサイトを占めるCaおよびBaまわりの 局所構造を区別して解析することで,両者に大きな違い があることを見出した.7)本稿では,その結果について紹 介する. 図1a,bに,大型放射光施設SPring-8のBL13XUにお いて実施したXFH測定によって得られたCaおよびBaま わりの原子像を示す.ここでは,図1cに示すように中心 元素であるCaもしくはBaを含む<001>面を再生して いる.図1a,bにある〇は,BaTiO3の結晶構造から予測 されるAサイトカチオンの理想位置に対応している.Ba まわりの原子像は,〇の位置の中央に観測されるのに対 し,Caまわりでは原子像が中央に向かって変位している ことがわかる.このことは,Caまわりで格子が局所的に 収縮していることを示している.これは,Caイオンの半 径がBaイオンよりも小さいことと符合している. 図2a,bには,図1a,bにおいて矢印で示した原子像を 拡大して表示している.CaおよびBaまわりにおいて,原 子像の位置だけではなく形状にも大きな違いがあること\",\"PeriodicalId\":74311,\"journal\":{\"name\":\"Nihon Kessho Gakkai shi\",\"volume\":null,\"pages\":null},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2022-12-15\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nihon Kessho Gakkai shi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.5940/jcrsj.64.257\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nihon Kessho Gakkai shi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.5940/jcrsj.64.257","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Atomic Displacement in Pb-Free Piezo-Electric Material Visualized by X-ray Fluorescence Holography
蛍光X線ホログラフィー(XFH)は,結晶内の特定元 素まわりの原子配列を三次元的に可視化できる手法であ り,1)1996年に初めて実証実験が行われて以来,2)ドーパ ントのサイトやクラスター構造の解析手法として発展を 遂げてきた.3)一方,ここ10年ほどの研究で,XFH 測定 で得られる原子像の強度や形状から物質内の原子変位 も精密に解析できることが明らかになり,4),5)原子変位の 新しい評価手法として注目されている.特に,原子変位 が物性発現のキーファクターとなる圧電体や強誘電体 への応用が急速に広まりつつある. 圧電体は,機械エネルギーと電気エネルギーを相互に 変換できる材料で,センサーやインクジェットプリン ターなどさまざまな用途で使用されている.現在,環境 負荷が高く人体に有害なPbを含むチタン酸ジルコン酸 鉛(PZT)が広く用いられていることから,これを代替 できる非鉛圧電材料の開発が急務とされている.非鉛圧 電体の中でも,ペロブスカイト構造を有するBaTiO3を ベースとした材料が近年盛んに研究されている.特に, (Ba,Ca)(Zr,Ti)O3(BCZT)は,約100°C以下の温度域 ではPZTを凌駕する圧電特性を示すことが知られてお り,6)現在,最も注目されている材料の1つである.BCZT の使用可能温度域の拡大や新たな非鉛圧電体の開発の ためには,高い圧電特性の起源を原子レベルで理解する 必要がある. BCZTにおいて,Aサイトを占有するCa2+イオンの半 径(1.34 Å)は,置換元のBa2+イオンの半径(1.61 Å)より も約17%も小さいため,Ca2+イオン周囲の局所構造は母 材のBaTiO3の構造とは大きく異なっていると考えられ る.そこで,著者らは元素選択的に三次元局所構造を導 出可能なXFHを,Caのみをドープした(Ba0.9Ca0.1)TiO3 に適用し,同じAサイトを占めるCaおよびBaまわりの 局所構造を区別して解析することで,両者に大きな違い があることを見出した.7)本稿では,その結果について紹 介する. 図1a,bに,大型放射光施設SPring-8のBL13XUにお いて実施したXFH測定によって得られたCaおよびBaま わりの原子像を示す.ここでは,図1cに示すように中心 元素であるCaもしくはBaを含む<001>面を再生して いる.図1a,bにある〇は,BaTiO3の結晶構造から予測 されるAサイトカチオンの理想位置に対応している.Ba まわりの原子像は,〇の位置の中央に観測されるのに対 し,Caまわりでは原子像が中央に向かって変位している ことがわかる.このことは,Caまわりで格子が局所的に 収縮していることを示している.これは,Caイオンの半 径がBaイオンよりも小さいことと符合している. 図2a,bには,図1a,bにおいて矢印で示した原子像を 拡大して表示している.CaおよびBaまわりにおいて,原 子像の位置だけではなく形状にも大きな違いがあること