{"title":"犬化脓性肉芽肿性炎症疑似皮菌病","authors":"S. Miyasaka","doi":"10.2736/JJVD.23.77","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"* 連絡先:宮坂 聡(学芸大学ペットクリニック) 〒 153-0053 東京都目黒区五本木 3-26-10 山本ビル 1F TEL/FAX 03-3713-7779 E-mail: info@gakugeidai-vet.com 症例は 14歳齢,ウェルシュ・コーギー・ペン ブローク,避妊メスで頸部背側部の皮膚糸状菌症 とのことで来院。前医では発赤,鱗屑を伴う脱毛 病変であること,病変部での培養検査において Microsporum canisの増殖を認めたこと(図 1),毛 検査において菌糸は確認できないものの脱毛が主 体の病変のため菌糸の検出が困難であること,室 内単頭飼育下で猫など他動物との接触もないため 偶発的な M.canisの付着の可能性が低いこと,その 他寄生体の感染を認めないことから皮膚糸状菌症 と診断し,イトラコナゾール 5 mg/kg SIDで 2週間, テルビナフィン 30 mg/kg SIDで 4週間にて治療を 行うも反応せず病変部が拡大してきたとのことで あった。 初診時,一般状態は良好で,各種一般検査にお いて皮膚症状以外の異常は認めなかった。皮膚症 状は頸部背側に直径 10 cmほどの範囲に辺縁不整 な脱毛と,丘疹,白色小型の鱗屑,皮膚の肥厚を 伴った局面を認めた。病変部は発赤を認め,稟告 より痒みも呈しているとのことであった(図 2, 3)。腋窩部には膿皮症を疑う皮膚炎を認めた。鑑 別として石灰沈着症,皮膚型リンパ腫,深在性真 菌症などを考え,皮膚掻爬検査,皮膚スタンプ検 査,抜毛検査を実施した。皮膚掻爬検査では外部 寄生虫,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は認め られなかった。皮膚スタンプ検査・抜毛検査では 細菌,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は検出さ れなかった。また,同部位から採取した被毛と鱗 屑を皮膚糸状菌用鑑別培地(ダーマキット,共立 製薬)を用いて培養検査を行った。血液検査では 著変は認めなかった。結果より,鑑別として皮膚 型リンパ腫,深在性真菌症,石灰沈着症,せつ腫 症などを考え,確定診断のため皮膚生検を提示し たが,現在服用中のテルビナフィン使用時に若干 発毛を認めるとのことでテルビナフィン 30 mg/kg SID(テルビナフィン錠,Meiji Seikaファルマ)で 治療を継続することとなった。第 14病日には良化 は認めず,また血液検査において ALT,ASTの上 昇を認めた。また,培養検査においても糸状菌の","PeriodicalId":22603,"journal":{"name":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","volume":"6 1","pages":"77-79"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2017-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"A canine Case of Suppurative Granulomatous Inflammation with a Suspected Cause of Dermatomycosis\",\"authors\":\"S. Miyasaka\",\"doi\":\"10.2736/JJVD.23.77\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"* 連絡先:宮坂 聡(学芸大学ペットクリニック) 〒 153-0053 東京都目黒区五本木 3-26-10 山本ビル 1F TEL/FAX 03-3713-7779 E-mail: info@gakugeidai-vet.com 症例は 14歳齢,ウェルシュ・コーギー・ペン ブローク,避妊メスで頸部背側部の皮膚糸状菌症 とのことで来院。前医では発赤,鱗屑を伴う脱毛 病変であること,病変部での培養検査において Microsporum canisの増殖を認めたこと(図 1),毛 検査において菌糸は確認できないものの脱毛が主 体の病変のため菌糸の検出が困難であること,室 内単頭飼育下で猫など他動物との接触もないため 偶発的な M.canisの付着の可能性が低いこと,その 他寄生体の感染を認めないことから皮膚糸状菌症 と診断し,イトラコナゾール 5 mg/kg SIDで 2週間, テルビナフィン 30 mg/kg SIDで 4週間にて治療を 行うも反応せず病変部が拡大してきたとのことで あった。 初診時,一般状態は良好で,各種一般検査にお いて皮膚症状以外の異常は認めなかった。皮膚症 状は頸部背側に直径 10 cmほどの範囲に辺縁不整 な脱毛と,丘疹,白色小型の鱗屑,皮膚の肥厚を 伴った局面を認めた。病変部は発赤を認め,稟告 より痒みも呈しているとのことであった(図 2, 3)。腋窩部には膿皮症を疑う皮膚炎を認めた。鑑 別として石灰沈着症,皮膚型リンパ腫,深在性真 菌症などを考え,皮膚掻爬検査,皮膚スタンプ検 査,抜毛検査を実施した。皮膚掻爬検査では外部 寄生虫,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は認め られなかった。皮膚スタンプ検査・抜毛検査では 細菌,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は検出さ れなかった。また,同部位から採取した被毛と鱗 屑を皮膚糸状菌用鑑別培地(ダーマキット,共立 製薬)を用いて培養検査を行った。血液検査では 著変は認めなかった。結果より,鑑別として皮膚 型リンパ腫,深在性真菌症,石灰沈着症,せつ腫 症などを考え,確定診断のため皮膚生検を提示し たが,現在服用中のテルビナフィン使用時に若干 発毛を認めるとのことでテルビナフィン 30 mg/kg SID(テルビナフィン錠,Meiji Seikaファルマ)で 治療を継続することとなった。第 14病日には良化 は認めず,また血液検査において ALT,ASTの上 昇を認めた。また,培養検査においても糸状菌の\",\"PeriodicalId\":22603,\"journal\":{\"name\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"volume\":\"6 1\",\"pages\":\"77-79\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2017-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2736/JJVD.23.77\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2736/JJVD.23.77","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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A canine Case of Suppurative Granulomatous Inflammation with a Suspected Cause of Dermatomycosis
* 連絡先:宮坂 聡(学芸大学ペットクリニック) 〒 153-0053 東京都目黒区五本木 3-26-10 山本ビル 1F TEL/FAX 03-3713-7779 E-mail: info@gakugeidai-vet.com 症例は 14歳齢,ウェルシュ・コーギー・ペン ブローク,避妊メスで頸部背側部の皮膚糸状菌症 とのことで来院。前医では発赤,鱗屑を伴う脱毛 病変であること,病変部での培養検査において Microsporum canisの増殖を認めたこと(図 1),毛 検査において菌糸は確認できないものの脱毛が主 体の病変のため菌糸の検出が困難であること,室 内単頭飼育下で猫など他動物との接触もないため 偶発的な M.canisの付着の可能性が低いこと,その 他寄生体の感染を認めないことから皮膚糸状菌症 と診断し,イトラコナゾール 5 mg/kg SIDで 2週間, テルビナフィン 30 mg/kg SIDで 4週間にて治療を 行うも反応せず病変部が拡大してきたとのことで あった。 初診時,一般状態は良好で,各種一般検査にお いて皮膚症状以外の異常は認めなかった。皮膚症 状は頸部背側に直径 10 cmほどの範囲に辺縁不整 な脱毛と,丘疹,白色小型の鱗屑,皮膚の肥厚を 伴った局面を認めた。病変部は発赤を認め,稟告 より痒みも呈しているとのことであった(図 2, 3)。腋窩部には膿皮症を疑う皮膚炎を認めた。鑑 別として石灰沈着症,皮膚型リンパ腫,深在性真 菌症などを考え,皮膚掻爬検査,皮膚スタンプ検 査,抜毛検査を実施した。皮膚掻爬検査では外部 寄生虫,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は認め られなかった。皮膚スタンプ検査・抜毛検査では 細菌,糸状菌の菌糸ならびに分節分生子は検出さ れなかった。また,同部位から採取した被毛と鱗 屑を皮膚糸状菌用鑑別培地(ダーマキット,共立 製薬)を用いて培養検査を行った。血液検査では 著変は認めなかった。結果より,鑑別として皮膚 型リンパ腫,深在性真菌症,石灰沈着症,せつ腫 症などを考え,確定診断のため皮膚生検を提示し たが,現在服用中のテルビナフィン使用時に若干 発毛を認めるとのことでテルビナフィン 30 mg/kg SID(テルビナフィン錠,Meiji Seikaファルマ)で 治療を継続することとなった。第 14病日には良化 は認めず,また血液検査において ALT,ASTの上 昇を認めた。また,培養検査においても糸状菌の