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Comparative Anatomical Studies on the Stereo Structure of the Lingual Papillae and Their Connective Tissue Cores in the Japanese Serow and Bighorn Sheep
草食性動物で偶蹄目のニホンカモシカとオオツノヒツジの舌と舌乳頭について, 光顕と走査電顕により観察し, 比較解剖学的に検討した.糸状乳頭の外形に関しては, 両種ともに太い1本の主突起と, 細長い数本の副突起からなる. 糸状乳頭の結合織芯は, ニホンカモシカでは円筒形の基部の周辺から細長い2次芯が馬蹄形に並び, オオツノヒツジでは多数の小突起が馬蹄形に並び, 後方の数本の基部が癒合している. 茸状乳頭の結合織芯は, 両種ともに1次芯が先端の丸まった円柱状で, ニホンカモシカでは側面に縦走するヒダがあり, オオツノヒツジでは側壁や上面は小さく尖った2次芯でおおわれる. 上面には両種共味蕾を入れる小陥凹が数個ある. 舌隆起部には大型円錐乳頭が分布し, 芯の基部は大きく, 表面は多数の小突起 (2次芯) でおおわれる.有郭乳頭の数は, ニホンカモシカでは約20個, オオツノヒツジでは両側に数個ずつある. 中央乳頭部の溝側上皮内に多数の味蕾をもち, 輪状溝の底に漿液腺の導管が多数開口する. 両種ともに葉状乳頭はない. 舌根部表面は平坦で, 上皮下によく発達した粘液腺が分布する.以上から, ニホンカモシカでは舌隆起部の大型円錐乳頭の結合織芯はウシに酷似するが, 糸状乳頭と茸状乳頭の結合織芯はイエウサギのものに似る. オオツノヒツジの糸状乳頭の結合織芯は, 同じ偶蹄目で草食性動物のなかにあって, ニホンカモシカとプロングホーンとの中間に位置する立体構造をもち, この構造はさらにシロイワヤギからシバヤギへと複雑化し, ウシの癒合型へと進化したことが推測される.