{"title":"温泉水での溺水による高カルシウム血症の1例(A case of hypercalcemia due to near–drowning in hot spring water)","authors":"井上 卓也, 安田 祐真, 中村 元気, 守田 裕啓, 西田 樹生, 奥村 知世, 尾崎 将之","doi":"10.1002/jja2.12860","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"わが国では温泉水での溺水は稀ではないが,それによる高Ca血症はわが国から3例しか報告がなく,認知度は低いと思われる。患者は76歳の男性。温泉施設で飲酒後に入浴し,浴槽に浮いているところを施設の職員に救助され,救急搬送された。当院搬入時,意識JCS 1,呼吸数20/分,SpO2 89%(経鼻酸素4L/分),血圧182/86mmHg,脈拍102/分,体温36.4℃であった。血液ガス分析では低酸素血症,代謝性アシドーシスを認め,胸部CT検査では両側肺に浸潤影を認めた。血液検査で補正血清Ca濃度が19.1mg/dLと高値であった。温泉水の誤嚥による急性呼吸促迫症候群(ARDS)および嘔気,嘔吐,多尿を症状とした原因不明の高Ca血症と診断し入院となった。ARDSについては非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を開始し,高Ca血症については生理食塩水の輸液,フロセミド,エルカトニン,およびゾレドロン酸の投与を行った。第3病日にはNPPVを離脱し,血清Ca値はほぼ正常化した。その後順調に改善し,第10病日に退院となった。第32病日の患者の血清Ca値は正常であった。後日,溺れた温泉水はCa濃度が高いと判明し,高Ca血症は誤嚥した温泉水を吸収したことが原因と考えられた。現在は溺水による電解質異常は重要視されないが,温泉水での溺水では高Ca血症を見逃さないよう注意が必要と考えられた。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"19 5","pages":""},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2024-02-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1002/jja2.12860","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}