{"title":"船舶を活用した災害医療〜乗船における課題と今後の展望〜(Challenges and prospects for ship–based medical services in disaster: in relation to boarding ships)","authors":"野口 航, 土谷 飛鳥, 青木 弘道, 守田 誠司, 中川 儀英, 山田 吉彦","doi":"10.1002/jja2.12910","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12910","url":null,"abstract":"【目的】阪神・淡路大震災以降の大規模災害の経験から,国は「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」を整備し,医療支援に船舶を活用する方針を示した。一方,災害時には大型船舶が港へ着岸できない可能性が高いため,乗船の課題がある。そこで,実証訓練「被災者を陸から小型船舶を使用して沖合に停泊する大型船舶へ移乗させる」を行い,船から船へ「海上」で安全に移乗できる被災者要件や船舶課題を抽出し,災害時の船舶活用を検討した。【対象】模擬被災者計38名(軽症・中等症患者,避難者)に対して,小型船舶が停泊可能な桟橋前の海岸で,乗船前トリアージを行った。続いて海上で小型船舶から大型海洋調査研修船へ移乗する訓練を行った。【結果】歩行可能である患者や要配慮者が選定されれば,小型船舶から大型船舶へ海上乗船できることが判明した。天候による船舶間距離や波高変化が接舷と移乗タイミングに大きく影響した。関係者アンケートでは,乗船トリアージと船舶間の移乗における安全性確保の重要性が指摘された。【結語】災害時に小型船舶から大型船舶へ移乗する場合を想定し,船舶の安全設備の充実,乗船可能な患者や要配慮者要件の整理,事前訓練による安全性の確認と関係者の連携を行うことで,船舶活用の機会が広がることが期待される。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"18 7","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-07-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141703374","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"神経性食思不振症による心停止に対しV–A ECMOを使用した1例〜栄養障害による痩せへの蘇生とその注意点〜(Use of veno–arterial extracorporeal membrane oxygenation in cardiac arrest due to anorexia nervosa: A case report – Notes on resuscitations –)","authors":"鈴木 剛, 塚田 泰彦, 伊関 憲","doi":"10.1002/jja2.12909","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12909","url":null,"abstract":"神経性食思不振症は精神科領域で取り扱う疾患のなかで最も死亡率が高い。症例:16歳女性。体重26kg,BMI 11.5kg/m2と高度な痩せのため入院となった。入院3日目に心停止状態で発見された。血糖は7mg/dLと低く心停止の原因と考えられた。心肺蘇生および糖補充により心拍が再開したが,非持続性の心室頻拍を示し循環動態が不安定であった。経胸壁心臓超音波検査はtakotsubo cardiomyopathyを疑う所見を示し,血糖補正後のrefeeding syndromeまたは蘇生後の影響と考えられた。その後,再び心停止となったが蘇生に反応せずV–A ECMOが導入された。その後状態は安定し第6病日にV–A ECMOを離脱,第43病日に人工呼吸器を離脱した。第50病日にICUを退室,第56病日に心身医療科へ転棟した。神経性食思不振症による心停止に対してV–A ECMOを用いた蘇生の報告は少ない。神経性食思不振症では栄養障害から血管発達が阻害されている可能性があり,V–A ECMOのカニューラ選択には注意を要する。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"56 4","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-07-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141711302","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"脳卒中プロトコール始動のタイミングと急性期脳梗塞の治療開始時間の関連についての検討(Assessment of the relationship between the timing of stroke protocol initiation and treatment starting time for acute cerebral infarction)","authors":"番匠谷 友紀, 松井 大作, 藤崎 修, 菊川 元博, 間 崇史, 小林 誠人, 永嶋 太","doi":"10.1002/jja2.12908","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12908","url":null,"abstract":"【目的】急性期脳梗塞の治療開始時間(door to puncture time: D2P)を短縮するため,患者搬入前から受入準備を行うことの妥当性は想像に難くないが,実際どのタイミングで始動することがD2Pを短縮するかの報告は過去にない。当院ではドクターヘリ・カー(以下,DH・DC)を活用したstroke protocol(以下,SP)を運用しており,患者搬入前にSP宣言があれば,CT室へ直接搬送し,CT室から脳神経外科医の併診が可能である。本検討はSPの患者搬入前の始動(以下,搬入前SP)が,患者搬入後の始動(以下,搬入後SP)と比べD2Pを短縮するかを明らかにすることを目的とした。【対象】2018年4月から2022年12月までの間に,SPを運用し血栓回収療法を実施した患者を,搬入前SP群と搬入後SP群の2群に分け,D2Pについて比較を行った。また,各々の群の搬送手段(DH・DC / その他)や搬入時間帯(平日日勤帯 / 時間外)によるD2Pを比較し,搬送手段や搬送時間帯による影響を検討した。【結果】搬入前SP群99例,搬入後SP群21例で,患者背景は搬入前SP群でDH・DC搬送が有意に多かった。搬入前SP群,搬入後SP群のD2Pは同等で(73分vs.75分),搬送手段や搬送時間帯による有意差はなかった。【結語】搬入前SPは,搬入後SPと比較し,D2Pを短縮しなかった。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"34 4","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-07-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141714094","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"腸間膜内穿通した空腸憩室炎の1例(A case of non–surgical management of penetrated jejunal diverticulitis localized perforation)","authors":"室屋 大輔, 西田 崇通, 下河辺 久陽, 和田 義人","doi":"10.1002/jja2.12911","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12911","url":null,"abstract":"症例は53歳の男性。昼食後に左側腹部痛が出現して救急外来を受診した。腹部は圧痛を認めるものの,筋性防御や反跳痛などの腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CT検査で多発する小腸憩室を認め,一部の空腸憩室周囲の脂肪織濃度上昇と腸間膜内の憩室外にガス像を認めたため,空腸憩室炎の穿通と診断した。腹部所見が限局していたため抗菌薬による保存的加療を行い,第4病日に食事再開して症状増悪を認めず,第8病日に自宅退院した。空腸憩室炎は大腸憩室炎に比べて稀であるが穿孔症例の死亡率は高く,穿孔や膿瘍形成症例は手術を推奨されている。穿通や膿瘍形成が限局している空腸憩室穿孔症例において保存的加療の報告が少ないながら認められる。慎重な症例選択とCT検査による厳重な経過観察のもとで手術回避できる症例が存在することが示唆された1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"295 4","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-07-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141692001","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"バイケイソウ誤食により徐脈と低血圧,低体温を来した1例(A case of bradycardia, hypotension, and hypothermia caused by Veratrum album poisoning)","authors":"大山 亜紗美, 後藤 沙由里, 鈴木 光子, 全田 吏栄, 鈴木 剛, 小野寺 誠, 伊関 憲","doi":"10.1002/jja2.12912","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12912","url":null,"abstract":"バイケイソウはべラトルムアルカロイドを含む有毒植物の一つであり,春の関東~東北地方で食中毒例が多い。今回,オオバギボウシ(ウルイ)との誤食により重篤な徐脈,低血圧,低体温を来した症例を経験したので報告する。症例:63歳の男性,渓流釣り後に自宅で飲酒していたところ,嘔吐と脱力感が出現した。血圧が測定できず体温が32℃台であったため,救急要請された。病着時の意識は清明で,バイタルサインは体温35.7℃,呼吸数15/分,脈拍数30/分,血圧70/37mmHg,SpO2 92%(酸素6L/分投与)だった。心電図は洞性徐脈で,対症療法としてアトロピン0.5mgやエフェドリン40mg投与を行ったが効果は一時的だった。ドパミン持続投与を開始したところ,循環動態は安定した。問診で「自生していたウルイを調理して摂取した」と発言があり,食した山菜を確認するとバイケイソウを誤食したことが判明し,食中毒による循環不全の診断となった。摂取翌日にドパミンは終了し,第3病日に退院となった。考察:バイケイソウの中毒症状は嘔吐と血圧低下が特徴的で,アトロピンやカテコラミンの投与をはじめとした全身管理が必要になる。低体温を来した症例は過去に類を見なかった。適切な対応がなされた場合の死亡例はなく,的確な診断と早期治療が求められる。誤食を疑うエピソードを聴取しない限り診断に近づくことは難しいため,正確な問診が鍵となる。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"50 6","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-07-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141702309","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
【目的】PECARN頭部外傷ルールは,clinically important traumatic brain injury(ciTBI)の低リスク群に頭部CT不要と判断するのに役立つ。しかし,中間リスク群に頭部CTを撮影するか,院内経過観察するかに関して臨床判断に迷うことがあり,ciTBIのリスク因子を探索した。【対象】国内6施設での多施設共同前方視的観察研究データベースの二次解析を行った。2016年6月から2017年9月に研究参加施設を受診した16歳未満の頭部外傷患者のうち,中間リスク群を対象とした。2歳未満と2歳以上に分けて,ciTBIとの関連を単変量ロジスティック回帰分析にて検討した。【結果】中間リスク群1,377例中,2歳未満の1.2%(7/607),2歳以上の0.65%(5/770)にciTBIを認めた。2歳未満での月齢[オッズ比(OR)0.74,95%信頼区間(CI)0.62–0.90]・2項目以上該当(OR 5.25,95% CI 1.15–23.9),2歳以上での前頭部以外の皮下血腫(OR 13.1,95% CI 1.3–640)がciTBIに関連した。【結語】PECARN中間リスク群において,2歳未満での低月齢・2項目以上該当,2歳以上での前頭部以外の皮下血腫のciTBI発生リスクが高い可能性が示唆された。
{"title":"PECARN頭部外傷ルールを用いた臨床的に重要な頭部外傷の中間リスク群におけるリスク層別化の検討(Risk stratification for clinically important traumatic brain injury in the intermediate–risk group factor of the PECARN head trauma prediction rule)","authors":"早野 駿佑, 神薗 淳司, 井手 健太郎, 植松 悟子, 鉄原 健一, 小林 徹","doi":"10.1002/jja2.12906","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12906","url":null,"abstract":"【目的】PECARN頭部外傷ルールは,clinically important traumatic brain injury(ciTBI)の低リスク群に頭部CT不要と判断するのに役立つ。しかし,中間リスク群に頭部CTを撮影するか,院内経過観察するかに関して臨床判断に迷うことがあり,ciTBIのリスク因子を探索した。【対象】国内6施設での多施設共同前方視的観察研究データベースの二次解析を行った。2016年6月から2017年9月に研究参加施設を受診した16歳未満の頭部外傷患者のうち,中間リスク群を対象とした。2歳未満と2歳以上に分けて,ciTBIとの関連を単変量ロジスティック回帰分析にて検討した。【結果】中間リスク群1,377例中,2歳未満の1.2%(7/607),2歳以上の0.65%(5/770)にciTBIを認めた。2歳未満での月齢[オッズ比(OR)0.74,95%信頼区間(CI)0.62–0.90]・2項目以上該当(OR 5.25,95% CI 1.15–23.9),2歳以上での前頭部以外の皮下血腫(OR 13.1,95% CI 1.3–640)がciTBIに関連した。【結語】PECARN中間リスク群において,2歳未満での低月齢・2項目以上該当,2歳以上での前頭部以外の皮下血腫のciTBI発生リスクが高い可能性が示唆された。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"9 10","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-06-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141279008","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"塩化メチレンに曝露し血中一酸化炭素濃度上昇,化学損傷を発症した1例(A chemical injury with high COHb concentration by exposure of chemical mixture containing methylene chloride)","authors":"吉田 春菜, 石川 順一, 林下 浩士","doi":"10.1002/jja2.12904","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12904","url":null,"abstract":"塩化メチレンを含む合剤に接触し化学損傷を受けたことで血中一酸化炭素ヘモグロビン(CO)濃度が上昇した症例を経験したため,報告する。症例は生来健康,2年間5本/日の喫煙歴のある17歳の男性。職場で転倒したことで,塩化メチレンを含む合剤と接触し化学損傷を受けた。診察結果より熱傷に加えてCOHb濃度の上昇も判明した。熱傷処置と直ちに酸素投与を開始し,経時的にCOHb濃度は低下した。またCO中毒で合併しうる遅発性脳症は本症例では見られなかった。本症例のように塩化メチレンによる化学損傷を考える症例では,除染のみならず経皮吸収することでCOHb濃度が上昇する可能性についても念頭に置きながら診察・治療を進めていく必要がある。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"30 3","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-06-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141277797","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"迅速βヒドロキシ酪酸測定により敗血症を契機とした飢餓性ケトアシドーシスを診断治療し得た1例(A case of starvation ketoacidosis caused by sepsis diagnosed and treated based on beta–hydroxybutyrate measurements)","authors":"辻 大河, 吉田 稔, 内倉 淑男, 本多 英喜, 岩澤 孝昌, 吉田 徹, 藤谷 茂樹","doi":"10.1002/jja2.12903","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12903","url":null,"abstract":"敗血症性ショックを契機とした飢餓性ケトアシドーシスを血清βヒドロキシ酪酸の測定により診断治療した。ケトアシドーシスのなかでも飢餓性の症例報告は少なく,我々が調べる範囲で敗血症を契機とした報告はない。しかし,飢餓性ケトアシドーシスに至るリスクを持つ患者は多く,鑑別として重要である。症例は88歳の女性,5日間の経口摂取不能と体動困難を主訴に救急搬送された。来院後,血圧低下と炎症反応高値,膿尿,anion gap(AG)開大性代謝性アシドーシスを認めた。尿管狭窄に対してステント留置し,尿路感染症による敗血症性ショックの診断でICU入室となった。第2病日,カテコラミンは中止でき,乳酸も正常値であったが,代謝性アシドーシスの進行を認め持続的腎代替療法を施行した。βヒドロキシ酪酸は4.8mmol/Lと上昇しており,糖尿病や飲酒歴はなく,5日間の絶食期間から飢餓性ケトアシドーシスと診断し,ブドウ糖とインスリンの持続静注を開始した。第4病日にβヒドロキシ酪酸は低下し,改善を得た。本症例ではインスリン分泌や筋肉量低下に加えて,敗血症によるグルカゴン分泌促進により短期間で飢餓性ケトアシドーシスを発症したと考えられる。AG開大性代謝性アシドーシスの鑑別に血清βヒドロキシ酪酸は有用であった。また,高齢化によりリスクを持つ患者は増えており,飢餓性ケトアシドーシスも念頭におく必要がある。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"140 43","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-06-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141281139","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
库尼斯综合征是一种与过敏反应有关的急性冠状动脉综合征。我们报告了一例肥厚型心肌病并发 Kounis 综合征的病例。患者是一名 45 岁的女性。她因首次服用抗菌药后出现皮肤瘙痒和呼吸困难而被送到急诊科。当她来到医院时,桡动脉隐约可触及,全身皮肤潮红并出现麦粒肿。心电图显示 ST 值升高,II、III、aVF、V1-V5 区心肌偏离酶升高,超声心动图显示心尖部心室肿块。到达医院后,患者休克了约 30 分钟,随后逐渐稳定。由于怀疑是急性冠状动脉综合征,急诊进行了冠状动脉造影,但未发现双侧冠状动脉有明显狭窄,诊断为库尼斯综合征 I 型。心脏造影剂增强磁共振成像显示左心室中段心肌壁增厚,诊断为肥厚型心肌病,心室中段梗阻,心尖部动脉瘤,提示肾上腺素治疗肥厚型心肌病对休克时间延长有影响。如果过敏性休克经初步治疗后休克仍持续存在,应及时进行心电图和超声心动图检查,并查明库尼斯综合征是否加重或是否存在心脏疾病。如果库尼斯综合征并发心脏疾病,如肥厚型心肌病伴中央型心室梗阻,则应注意药物治疗的选择。
{"title":"心尖部心室瘤を有する心室中部閉塞性肥大型心筋症に合併したKounis症候群の1例(A case of Kounis syndrome with midventricular obstructive hypertrophic cardiomyopathy with apical aneurysm)","authors":"菅野 朋子, 湯川 高寛, 大坪 里織, 山際 武志","doi":"10.1002/jja2.12907","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12907","url":null,"abstract":"Kounis症候群とはアレルギー反応に伴い急性冠症候群を来す疾患である。今回我々は,肥大型心筋症にKounis症候群を合併した症例を経験したため報告する。症例は45歳の女性。抗菌薬を初回内服後,皮膚の掻痒感と呼吸困難感を自覚し救急搬送された。来院時橈骨動脈の触知微弱であり,全身皮膚紅潮と膨疹を認め,アナフィラキシーショックと診断しアドレナリン0.3mgを計2回大腿外側に筋肉注射した。また,心電図でII,III,aVF,V1–V5のSTおよび心筋逸脱酵素の上昇,心エコーで心尖部心室瘤を認めた。来院後30分間程度ショックが遷延したが,次第に安定した。急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影検査を施行したが両側冠動脈に有意狭窄は認めず,Kounis症候群タイプIと診断した。また,心臓造影MRI検査で左心室中部の心筋壁が肥厚しており,心尖部心室瘤を有する心室中部閉塞性肥大型心筋症と診断し,肥大型心筋症へのアドレナリン投与がショックの遷延に影響したと考えられた。アナフィラキシーショックの初期治療後もショックが遷延した場合は迅速に心電図,心エコーを実施し,Kounis症候群や既存心疾患の病態増悪を鑑別に挙げる必要がある。また,Kounis症候群に心室中部閉塞性肥大型心筋症などの心疾患を合併した場合は,薬物治療の選択に注意が必要である。","PeriodicalId":19346,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine","volume":"142 10","pages":""},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2024-06-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"141281228","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}