{"title":"Advances in Molecular Systematics of Microorganisms and Problems in their Nomenclature","authors":"T. Arai","doi":"10.3314/JJMM.38.135","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"Woeseが,原核生物の系統樹作製のための最終の分子時計として16Sリボソーム小サブユニットRNAの塩基配列解析の応用を提唱してより,今日迄に多くのTaxonにつき再編が行われてきた.リボソームRNAは機能的に極めて安定で,ウイルスを除いてすべての生物に存在し,大部分の系統発生学的関係を掌握し,逆転写酵素で直接迅速にシークエンスされるなど他の分子時計では得られない利点が確認された.これ以後原核生物の系統解析は著しく進歩した.Brunsは1992年この手法を真菌に応用し18SリボソームRNA塩基配列に基づく系統解析により,菌類系統群の大きな枠組みを具体的に示した.このような分子遺伝学的研究は真菌類が単系統であることを示し,これ迄永く採用されてきたAinsworth分類体系を根本的に再編することになるものである.さらに高等菌類の特性である有性生殖器官を形成するテレオモルフと,無性生殖器官を形成するアナモルフを一つの自然分類系に統合する可能性を示し,ホロモルフの概念も不要となる.したがって二元的分類体系による不完全菌の存在理由もなくなる.さらに種の同定のためには,これら核小サブユニットリボソームRNA遺伝子の可変領域,高度可変領域は,種間でその相違が顕著で,種内では相違が少ないので極めて好都合である.小サブユニットのデータベースは急速に増加しつつあるし,塩基配列解析は迅速に行うことができるから,有効な同定法になり得る.微生物の分類と同定はこれ迄比較形態学や比較生化学データを基に構築され,また命名は由来や病原性に基づくことも少なくなかった.これらは新しい分子遺伝学的系統分類とは殆ど無縁である.したがって過去の命名が新しい分類と矛盾,自家撞着をきたし「名は体を表さず」ということにもなりかねない.放線菌の形態学の面から,この問題の将来に向けての解決を希望した.","PeriodicalId":19301,"journal":{"name":"Nippon Ishinkin Gakkai Zasshi","volume":"55 1","pages":"135-140"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1997-05-30","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nippon Ishinkin Gakkai Zasshi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3314/JJMM.38.135","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}