1-(1-フェニルエトキシ)-2-ピリドンのβ-シクロデキストリンとの錯形成挙動に及ぼすメチル置換基効果

仁敬 秋田, 弘之 成瀬, 勘二 久保, 五十嵐 徹太郎, 忠光 櫻井
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Abstract

β-シクロデキストリン(β-CDx)とラセミ体の1-(1-フェニルエトキシ)-2-ピリドンおよびそのメチル誘導体から形成される1 : 1包接錯体のUV吸収スペクトル,円二色性スペクトルおよび1H-NMRスペクトルの解析から,包接錯体の構造と安定性ならびにβ-CDxの調べたゲストに対する不斉識別能に及ぼすメチル置換基効果が検討された.ゲスト分子内のフェニル部分は優先的にβ-CDx空洞内に取り込まれ,一方,ピリドン発色団は空洞内に入らずホスト分子の第二級ヒドロキシ基側の縁付近に残っていることが明らかにされた.さらに,ゲスト分子のピリドン環の6位に導入したメチル基は生成したβ-CDx包接錯体の安定性を増大させるようにその置換基効果を及ぼすことが示された.包接錯体の円二色性スペクトルの解析は,錯体の安定性とは対照的にその構造が事実上ピリドン環に導入したメチル置換基効果を受けないことを明らかにした.予想に反して,β-CDx空洞はラセミ体の1-(1-フェニルエトキシ)-2-ピリドンに対して乏しい不斉識別能しか示さず,また,この能力に及ぼすメチル置換基効果は小さいことがわかった.
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