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{"title":"水果存储系统的智能控制研究","authors":"T. Morimoto","doi":"10.2525/SHITA.30.195","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"貯蔵(流通含む)とは,作物を収穫し店頭に並ぶまでの 数日から数ヶ月の間,生きたままの状態で,生理反応(呼 吸,酵素活性など)をできるだけ抑制して栄養物の消耗や成 分の変質を少なくして品質を保持し,かつ蒸発散を抑えて鮮 度(新鮮さ)をできるだけ長く保持する試みである.果実で あれば,この間うまく追熟させておいしくし,適切な時期に出 荷する.このことから,貯蔵プロセスは作物の最終的な品質 を決定する重要なプロセスと考えることができ,ここでの取り扱 いが商品価値を大きく左右する. さて,貯蔵で作物(青果物)をいかに取り扱うか.従来よ り,青果物の貯蔵環境は,低温障害を起こさない範囲で,で きるだけ低温一定にするのが基本である.これは,低温一定 条件が青果物の呼吸などの生理活性を抑制して栄養の消耗 を少なくするとともに,細菌の繁殖を防ぐからである.すでにほ とんどの作物について適切と思われる低温の設定値(貯蔵 温度)が決められており,我々は単にそれらの温度までいか に早く低下させ,効率的かつ精度よくその温度に一定に保つ かが課題となる.このため,貯蔵分野では低温技術,すなわ ち低温に関わるハード面の技術開発が先行している.このよう な取り扱いは低温一定が主体なので,一種の静的な環境制 御とみなされる. しかし,このような取り扱いは今までに大きな成果を上げてき ているが,青果物の生理状態がほとんど考慮されてないの で,鮮度や品質の保持のためには有効であるが,品質改善 (品質の向上)には至らない.作物は貯蔵中でも呼吸などを 行って生きており,生理状態が絶えず変化しているので,環 境を適切に制御してやれば,鮮度および品質向上につながる 可能性がある.このことから,低温一定の環境条件が本当に 最良なのか疑問である. さて,青果物の鮮度や品質向上を考えると,やはりそのとき の青果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御するのが 有効であり本質的と思われる.いわゆる生体情報を考慮した ソフト面の技術開発である.この観点から,貯蔵を一つの制 御プロセスとして捉え,生きている青果物の生理的な状態を モニタし,その情報に基づいて環境を適切に制御する方式が 有効と考えられる.このような概念をSFA(Speaking Fruit Approach)と称する 1, .SF(Speaking Fruit)とは,直訳 すれば “しゃべる果実”であるが,これはセンサを用いて計測 される果実応答であり,このデータから果実が今何を要求し ているか,たとえば “追熟のためもっと暖かくして欲しい”など を推測する.環境制御はこれに基づいて行う.このような取り 扱いは,貯蔵中において,青果物の生理的な応答に基づい て環境を積極的に変化させようとするので,動的(ダイナミッ ク)な環境制御といえる. 次に,SFAを実現する方法論を考えると,動的な貯蔵プロ セスを系統的に捉えた方が解析しやすく,またこの手法が青 果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御する方式なの で最適制御(又は動的最適化)問題を解くことに対応してお り,このためシステム科学的手法が有効と考えられる 1, .す","PeriodicalId":315038,"journal":{"name":"Shokubutsu Kankyo Kogaku","volume":"40 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2018-12-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"A study on Intelligent Control of Fruit-storage Systems\",\"authors\":\"T. Morimoto\",\"doi\":\"10.2525/SHITA.30.195\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"貯蔵(流通含む)とは,作物を収穫し店頭に並ぶまでの 数日から数ヶ月の間,生きたままの状態で,生理反応(呼 吸,酵素活性など)をできるだけ抑制して栄養物の消耗や成 分の変質を少なくして品質を保持し,かつ蒸発散を抑えて鮮 度(新鮮さ)をできるだけ長く保持する試みである.果実で あれば,この間うまく追熟させておいしくし,適切な時期に出 荷する.このことから,貯蔵プロセスは作物の最終的な品質 を決定する重要なプロセスと考えることができ,ここでの取り扱 いが商品価値を大きく左右する. さて,貯蔵で作物(青果物)をいかに取り扱うか.従来よ り,青果物の貯蔵環境は,低温障害を起こさない範囲で,で きるだけ低温一定にするのが基本である.これは,低温一定 条件が青果物の呼吸などの生理活性を抑制して栄養の消耗 を少なくするとともに,細菌の繁殖を防ぐからである.すでにほ とんどの作物について適切と思われる低温の設定値(貯蔵 温度)が決められており,我々は単にそれらの温度までいか に早く低下させ,効率的かつ精度よくその温度に一定に保つ かが課題となる.このため,貯蔵分野では低温技術,すなわ ち低温に関わるハード面の技術開発が先行している.このよう な取り扱いは低温一定が主体なので,一種の静的な環境制 御とみなされる. しかし,このような取り扱いは今までに大きな成果を上げてき ているが,青果物の生理状態がほとんど考慮されてないの で,鮮度や品質の保持のためには有効であるが,品質改善 (品質の向上)には至らない.作物は貯蔵中でも呼吸などを 行って生きており,生理状態が絶えず変化しているので,環 境を適切に制御してやれば,鮮度および品質向上につながる 可能性がある.このことから,低温一定の環境条件が本当に 最良なのか疑問である. さて,青果物の鮮度や品質向上を考えると,やはりそのとき の青果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御するのが 有効であり本質的と思われる.いわゆる生体情報を考慮した ソフト面の技術開発である.この観点から,貯蔵を一つの制 御プロセスとして捉え,生きている青果物の生理的な状態を モニタし,その情報に基づいて環境を適切に制御する方式が 有効と考えられる.このような概念をSFA(Speaking Fruit Approach)と称する 1, .SF(Speaking Fruit)とは,直訳 すれば “しゃべる果実”であるが,これはセンサを用いて計測 される果実応答であり,このデータから果実が今何を要求し ているか,たとえば “追熟のためもっと暖かくして欲しい”など を推測する.環境制御はこれに基づいて行う.このような取り 扱いは,貯蔵中において,青果物の生理的な応答に基づい て環境を積極的に変化させようとするので,動的(ダイナミッ ク)な環境制御といえる. 次に,SFAを実現する方法論を考えると,動的な貯蔵プロ セスを系統的に捉えた方が解析しやすく,またこの手法が青 果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御する方式なの で最適制御(又は動的最適化)問題を解くことに対応してお り,このためシステム科学的手法が有効と考えられる 1, .す\",\"PeriodicalId\":315038,\"journal\":{\"name\":\"Shokubutsu Kankyo Kogaku\",\"volume\":\"40 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2018-12-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Shokubutsu Kankyo Kogaku\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2525/SHITA.30.195\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Shokubutsu Kankyo Kogaku","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2525/SHITA.30.195","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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A study on Intelligent Control of Fruit-storage Systems
貯蔵(流通含む)とは,作物を収穫し店頭に並ぶまでの 数日から数ヶ月の間,生きたままの状態で,生理反応(呼 吸,酵素活性など)をできるだけ抑制して栄養物の消耗や成 分の変質を少なくして品質を保持し,かつ蒸発散を抑えて鮮 度(新鮮さ)をできるだけ長く保持する試みである.果実で あれば,この間うまく追熟させておいしくし,適切な時期に出 荷する.このことから,貯蔵プロセスは作物の最終的な品質 を決定する重要なプロセスと考えることができ,ここでの取り扱 いが商品価値を大きく左右する. さて,貯蔵で作物(青果物)をいかに取り扱うか.従来よ り,青果物の貯蔵環境は,低温障害を起こさない範囲で,で きるだけ低温一定にするのが基本である.これは,低温一定 条件が青果物の呼吸などの生理活性を抑制して栄養の消耗 を少なくするとともに,細菌の繁殖を防ぐからである.すでにほ とんどの作物について適切と思われる低温の設定値(貯蔵 温度)が決められており,我々は単にそれらの温度までいか に早く低下させ,効率的かつ精度よくその温度に一定に保つ かが課題となる.このため,貯蔵分野では低温技術,すなわ ち低温に関わるハード面の技術開発が先行している.このよう な取り扱いは低温一定が主体なので,一種の静的な環境制 御とみなされる. しかし,このような取り扱いは今までに大きな成果を上げてき ているが,青果物の生理状態がほとんど考慮されてないの で,鮮度や品質の保持のためには有効であるが,品質改善 (品質の向上)には至らない.作物は貯蔵中でも呼吸などを 行って生きており,生理状態が絶えず変化しているので,環 境を適切に制御してやれば,鮮度および品質向上につながる 可能性がある.このことから,低温一定の環境条件が本当に 最良なのか疑問である. さて,青果物の鮮度や品質向上を考えると,やはりそのとき の青果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御するのが 有効であり本質的と思われる.いわゆる生体情報を考慮した ソフト面の技術開発である.この観点から,貯蔵を一つの制 御プロセスとして捉え,生きている青果物の生理的な状態を モニタし,その情報に基づいて環境を適切に制御する方式が 有効と考えられる.このような概念をSFA(Speaking Fruit Approach)と称する 1, .SF(Speaking Fruit)とは,直訳 すれば “しゃべる果実”であるが,これはセンサを用いて計測 される果実応答であり,このデータから果実が今何を要求し ているか,たとえば “追熟のためもっと暖かくして欲しい”など を推測する.環境制御はこれに基づいて行う.このような取り 扱いは,貯蔵中において,青果物の生理的な応答に基づい て環境を積極的に変化させようとするので,動的(ダイナミッ ク)な環境制御といえる. 次に,SFAを実現する方法論を考えると,動的な貯蔵プロ セスを系統的に捉えた方が解析しやすく,またこの手法が青 果物の生体情報に基づいて環境を適切に制御する方式なの で最適制御(又は動的最適化)問題を解くことに対応してお り,このためシステム科学的手法が有効と考えられる 1, .す