{"title":"热通量型DSC的最新进展","authors":"A. Toda","doi":"10.11311/JSCTA1974.33.211","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"日本熱測定学会30周年記念号(2003年)で企画された 「研究分野でみる熱測定の進歩」の一項目「カロリメトリ ー」1)で指摘されているように,計算機の飛躍的発展により, 解析解が求まる理想的な熱系だけでなく,数値解しか得ら れない熱系にまで,定量的な解析の対象が広がりつつある。 今回は,熱流束DSCに関する,そのような方向の進展状況 について解説する。 熱流束DSCは,定量DTAとも呼ばれるように,炉の温 度を変化させながら,炉内に置かれた試料と基準物質の温 度(差)を測定し,試料温度および試料からの熱流束を定 量的に測定することを目的とした装置である。2) 炉内の試料 容器の温度を直接制御することにより,試料に流入する熱 流束を決定する手法をとる入力補償型DSCと共に,簡便に 熱測定を行う手法として広く用いられている。 市販されているDSCでは,温度プローブを試料容器外に 設置することで,異なる試料を用いた定量的で反復可能な 測定を可能にしている。すなわち,実際に測定しているの は,試料・基準物質の温度ではなく,あくまでも試料・基 準物質の容器台の温度であることに注意して欲しい。そこ で,これらの実測された温度から,如何にして試料温度お よび試料からの熱流束を定量的に決定するのかという点が 重要となる。一定速度の昇温(降温)によって熱流束が定 常状態にある試料の熱容量や,熱流束の時間積分で決めら れる相転移前後の全放熱(吸熱)量を測定することが目的 であれば,従来法として確立されているように,既知の比 熱や潜熱をもつ標準物質による較正で十分である。 一方,相転移や化学反応のキネティクスを対象として, 非定常な熱流束の時間発展を定量的に測定したい場合には, 実測される容器台の温度や熱流束は試料-試料台間の熱接 触抵抗に強く影響されるため,この熱抵抗値も含めた装置","PeriodicalId":19096,"journal":{"name":"Netsu Sokutei","volume":"52 1","pages":"211-216"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2006-11-30","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Recent Development of Heat Flux Type DSC\",\"authors\":\"A. Toda\",\"doi\":\"10.11311/JSCTA1974.33.211\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"日本熱測定学会30周年記念号(2003年)で企画された 「研究分野でみる熱測定の進歩」の一項目「カロリメトリ ー」1)で指摘されているように,計算機の飛躍的発展により, 解析解が求まる理想的な熱系だけでなく,数値解しか得ら れない熱系にまで,定量的な解析の対象が広がりつつある。 今回は,熱流束DSCに関する,そのような方向の進展状況 について解説する。 熱流束DSCは,定量DTAとも呼ばれるように,炉の温 度を変化させながら,炉内に置かれた試料と基準物質の温 度(差)を測定し,試料温度および試料からの熱流束を定 量的に測定することを目的とした装置である。2) 炉内の試料 容器の温度を直接制御することにより,試料に流入する熱 流束を決定する手法をとる入力補償型DSCと共に,簡便に 熱測定を行う手法として広く用いられている。 市販されているDSCでは,温度プローブを試料容器外に 設置することで,異なる試料を用いた定量的で反復可能な 測定を可能にしている。すなわち,実際に測定しているの は,試料・基準物質の温度ではなく,あくまでも試料・基 準物質の容器台の温度であることに注意して欲しい。そこ で,これらの実測された温度から,如何にして試料温度お よび試料からの熱流束を定量的に決定するのかという点が 重要となる。一定速度の昇温(降温)によって熱流束が定 常状態にある試料の熱容量や,熱流束の時間積分で決めら れる相転移前後の全放熱(吸熱)量を測定することが目的 であれば,従来法として確立されているように,既知の比 熱や潜熱をもつ標準物質による較正で十分である。 一方,相転移や化学反応のキネティクスを対象として, 非定常な熱流束の時間発展を定量的に測定したい場合には, 実測される容器台の温度や熱流束は試料-試料台間の熱接 触抵抗に強く影響されるため,この熱抵抗値も含めた装置\",\"PeriodicalId\":19096,\"journal\":{\"name\":\"Netsu Sokutei\",\"volume\":\"52 1\",\"pages\":\"211-216\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2006-11-30\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Netsu Sokutei\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.11311/JSCTA1974.33.211\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Netsu Sokutei","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.11311/JSCTA1974.33.211","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Recent Development of Heat Flux Type DSC
日本熱測定学会30周年記念号(2003年)で企画された 「研究分野でみる熱測定の進歩」の一項目「カロリメトリ ー」1)で指摘されているように,計算機の飛躍的発展により, 解析解が求まる理想的な熱系だけでなく,数値解しか得ら れない熱系にまで,定量的な解析の対象が広がりつつある。 今回は,熱流束DSCに関する,そのような方向の進展状況 について解説する。 熱流束DSCは,定量DTAとも呼ばれるように,炉の温 度を変化させながら,炉内に置かれた試料と基準物質の温 度(差)を測定し,試料温度および試料からの熱流束を定 量的に測定することを目的とした装置である。2) 炉内の試料 容器の温度を直接制御することにより,試料に流入する熱 流束を決定する手法をとる入力補償型DSCと共に,簡便に 熱測定を行う手法として広く用いられている。 市販されているDSCでは,温度プローブを試料容器外に 設置することで,異なる試料を用いた定量的で反復可能な 測定を可能にしている。すなわち,実際に測定しているの は,試料・基準物質の温度ではなく,あくまでも試料・基 準物質の容器台の温度であることに注意して欲しい。そこ で,これらの実測された温度から,如何にして試料温度お よび試料からの熱流束を定量的に決定するのかという点が 重要となる。一定速度の昇温(降温)によって熱流束が定 常状態にある試料の熱容量や,熱流束の時間積分で決めら れる相転移前後の全放熱(吸熱)量を測定することが目的 であれば,従来法として確立されているように,既知の比 熱や潜熱をもつ標準物質による較正で十分である。 一方,相転移や化学反応のキネティクスを対象として, 非定常な熱流束の時間発展を定量的に測定したい場合には, 実測される容器台の温度や熱流束は試料-試料台間の熱接 触抵抗に強く影響されるため,この熱抵抗値も含めた装置