{"title":"酶法DL -潘特拉克顿的工业光学分割法","authors":"昌 清水, 忠則 森川, 一誠 新田, 恵司 坂本, 浩一 和田","doi":"10.1246/NIKKASHI.2002.1","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"D-パントラクトン(D-PL)は,B群ビタミンのD-パントテン酸やD-パンテノール,D-パンテテイン,コエンザイムAの合成に重要なキラルビルディングブロックである.D-PLの製造は,これまで,化学的合成法により得たラセミ体混合物をキラルアミンによるジアステレオマー塩生成を含む複雑な光学分割法により行われてきた.D-パントテン酸製造におけるこの光学分割プロセスを回避あるいは改良するため,立体選択的な酵素反応の導入を検討した.すなわち,この目的に利用できる幾つかの反応を微生物に探索し,ラクトン環の2位OH基の立体を認識して分子内エステル結合を不斉加水分解し,DL-PLをD-パント酸とL-PLに分割できる反応がFusarium属および類縁糸状菌に広く分布することを発見した.本反応に関与する新規酵素“ラクトナーゼ”の諸性質を解明するとともに,本酵素を高活性で含むFusarium oxysporumの菌体をアルギン酸カルシウムで包括固定化することによって酵素の安定化と再利用を図り,180回以上の繰り返し使用を可能にした.これにより,常温,中性付近の温和な条件下に,副生物をほとんど伴わず,30–35%のDL-PLをほぼ定量的に分割できる実用的方法が確立された.本酵素的光学分割法は,1999年より3000 t/y規模(D-パントテン酸カルシウム換算)で工業化され,従来法に比し,経済性のみならず環境調和型の点でも優れた生産法であることが明らかとなっている.","PeriodicalId":19311,"journal":{"name":"Nippon Kagaku Kaishi","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2002-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"1","resultStr":"{\"title\":\"酵素法による DL -パントラクトンの工業的光学分割法\",\"authors\":\"昌 清水, 忠則 森川, 一誠 新田, 恵司 坂本, 浩一 和田\",\"doi\":\"10.1246/NIKKASHI.2002.1\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"D-パントラクトン(D-PL)は,B群ビタミンのD-パントテン酸やD-パンテノール,D-パンテテイン,コエンザイムAの合成に重要なキラルビルディングブロックである.D-PLの製造は,これまで,化学的合成法により得たラセミ体混合物をキラルアミンによるジアステレオマー塩生成を含む複雑な光学分割法により行われてきた.D-パントテン酸製造におけるこの光学分割プロセスを回避あるいは改良するため,立体選択的な酵素反応の導入を検討した.すなわち,この目的に利用できる幾つかの反応を微生物に探索し,ラクトン環の2位OH基の立体を認識して分子内エステル結合を不斉加水分解し,DL-PLをD-パント酸とL-PLに分割できる反応がFusarium属および類縁糸状菌に広く分布することを発見した.本反応に関与する新規酵素“ラクトナーゼ”の諸性質を解明するとともに,本酵素を高活性で含むFusarium oxysporumの菌体をアルギン酸カルシウムで包括固定化することによって酵素の安定化と再利用を図り,180回以上の繰り返し使用を可能にした.これにより,常温,中性付近の温和な条件下に,副生物をほとんど伴わず,30–35%のDL-PLをほぼ定量的に分割できる実用的方法が確立された.本酵素的光学分割法は,1999年より3000 t/y規模(D-パントテン酸カルシウム換算)で工業化され,従来法に比し,経済性のみならず環境調和型の点でも優れた生産法であることが明らかとなっている.\",\"PeriodicalId\":19311,\"journal\":{\"name\":\"Nippon Kagaku Kaishi\",\"volume\":null,\"pages\":null},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2002-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"1\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nippon Kagaku Kaishi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.1246/NIKKASHI.2002.1\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nippon Kagaku Kaishi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1246/NIKKASHI.2002.1","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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