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Calorimetric Analysis of the Formation and the Thermal Response of β2 Microglobulin Amyloid Fibril
蛋白質は,それぞれ特有の立体構造(天然構造)に折り たたまれてその機能を担う。天然構造は,熱力学的に最も 安定な状態であり,蛋白質の唯一規則的立体構造と考えら れてきた。このような立場からは,機能をもたない凝集体 は研究の対象外であった。ところが近年,蛋白質の天然構 造が壊れたり,間違ってフォールディング(ミスフォール ディング)をすることが原因で凝集体を形成し,病気の引 き起こされる例が多く見つかってきた。このような病気は, 蛋白質の立体構造(コンフォメーション)変化によって引 き起こされるので,フォールディング病あるいはコンフォ メーション病として注目されている。1,2) これらの凝集体の 中には,蛋白質がコンゴーレッド色素で橙赤色に染色され, 偏光顕微鏡下で緑色偏光を呈する幅約10 nmで枝分かれの ない線維構造をつくって体内に沈着している例が多くある (Fig.1)。これをアミロイド線維(医学用語として繊維では なく線維をもちいる)とよび,アミロイド線維の沈着する 疾患をアミロイド病(あるいはアミロイドーシス)と総称 する。1-3) 約20種類のアミロイド病と,その原因となる蛋白質ある いはペプチドが知られている。アルツハイマー病(Aβペプ チド),透析アミロイドーシス(β 2ミクログロブリン),AL アミロイドーシス(免疫グロブリンL鎖),家族性アミロイ ドポリニューロパチー(トランスサイレチン)などのほか, 狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病も アミロイド病と考えられている。カッコ内は原因蛋白質で あり,それらの多くは生命機能を支える重要な蛋白質であ ることがわかる。さらには,アミロイド線維はアミロイド ーシスにかかわる蛋白質だけでなく,疾病と関係しないさ まざまな蛋白質やポリアミノ酸によっても形成されること がわかってきている。4) このことは蛋白質が天然構造を形成