{"title":"两例缺乏细胞介导免疫且IgG抗体水平为阴性/中间水平的病例怀疑既往自然水痘感染","authors":"K. Terada, H. Teranishi, Hiroto Akaike, T. Oishi, I. Miyata, K. Ouchi","doi":"10.11150/KANSENSHOGAKUZASSHI.91.583","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"序 文 水痘の自然感染後は一般に 2度罹患することはない と考えられているが,免疫抑制者だけでなく健康者に おける再罹患例の報告もある.しかし,その発症前 の抗体と細胞性免疫を報告したものは当然ほとんどな い.今回,水痘帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫 (CMI)陰性かつ IgG 抗体(±)ないし(-)で自然 感染の既感染と思われる 2例を経験したので,自然感 染後の再罹患の可能性を免疫学的にも示唆したと考え られた. 症 例 1 11 歳,男児.白血球の減少(白血球数 850,リンパ 球数 502/μL,blast 0%)と貧血を認めたため紹介入 院となり,骨髄穿刺で芽球 91%の前駆 B細胞の急性 リンパ性白血病と診断された.治療は日本小児白血病 リンパ腫研究グループ(JPLSG)ALL-B12 プロトコー ルの中等度リスク群として加療された.入院時検査で 水痘ワクチン接種歴や既往歴はなかったが,ウイルス 抗体EIA「デンカ」水痘 IgG(デンカ生研)のキット で測定した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)IgG 抗体 (EIA法)は 2.7(±)(±は 2.0~3.9),IgM抗体 0.16 (-)(陰性は 0.8 未満)であった.免疫抑制者の水痘 は重症化するため,水痘皮内抗原反応でCMI を確認 したところ,発赤径 0mm陰性であった.しかし,寛 解導入療法 day36(診断後 day41)のクリーンルーム 入室中に右大腿に膿痂疹様の水疱に気付き,翌日左上 腕,さらに胸部へと数個ずつ拡大した.クリーンルー ムに 3週間前より隔離されていて,VZVとの接触歴 もなかった.既往歴はないが播種性帯状疱疹を疑い, 水疱から LAMP法でVZVを検出して確定診断した. 発症 3日目のVZV抗体価は IgG 2.9 (±),IgM 0.8 (-) で陽転化していなかった.アシクロビル投与 5日間で 痂皮化した.翌月の早期強化療法 day30(診断後 day 79)にも左右前腕に前回同様の膿痂疹様水疱が数個出 現し,アシクロビルによる治療を実施した.ガンマグ ロブリンの投与はないが,発症 2日目VZV-IgG 5.1 (+),IgM 0.64(-)と陽転化していた.さらに約 3 カ月後の再寛解導入療法 day11(診断後 day166)に 左顔面の帯状疱疹を発症した.発症 2日目のVZV-IgG 9.9(+),IgM 0.45(-)であったが,その 2カ月後 IgG 90.9(+),IgM 0.28(-)と IgG 抗体は著増し ていた.インターフェロン γ(IFN)遊離法で測定し たCMI は,IFN 61.0pg/mL(陽性は 10pg/mL以上) と陽転していた.抗原は水痘ワクチンを紫外線照射で 不活化して使用した. 症 例 2 18 歳,女子大学生.VZV免疫に関する研究ボラン ティア(川崎医大で承認 625-3)の対象となり,同意 を得て採血した.VZV-IgG 抗体 1.0(-)と,IFNは 0pg/mLで CMI 陰性が確認された.水痘ワクチン接 種歴はなかったが,2歳で水痘(兄弟から感染)の自 然感染歴があった.水痘ワクチン接種後抗体価は IgM 0.38(-),IgG 3.0(±)であったが,IFNは 252.1pg/ mL と著増した.抗体陰性者のワクチン接種後 IFN (Mean±SD)は 32.6±51.7pg/mL であった. 短 報","PeriodicalId":17724,"journal":{"name":"Kansenshogaku zasshi. The Journal of the Japanese Association for Infectious Diseases","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2017-07-20","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Past Natural Varicella Infection Suspected in Two Cases Lacking Cell-mediated Immunity with Negative /intermediate IgG Antibody Levels\",\"authors\":\"K. Terada, H. Teranishi, Hiroto Akaike, T. Oishi, I. Miyata, K. 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Past Natural Varicella Infection Suspected in Two Cases Lacking Cell-mediated Immunity with Negative /intermediate IgG Antibody Levels
序 文 水痘の自然感染後は一般に 2度罹患することはない と考えられているが,免疫抑制者だけでなく健康者に おける再罹患例の報告もある.しかし,その発症前 の抗体と細胞性免疫を報告したものは当然ほとんどな い.今回,水痘帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫 (CMI)陰性かつ IgG 抗体(±)ないし(-)で自然 感染の既感染と思われる 2例を経験したので,自然感 染後の再罹患の可能性を免疫学的にも示唆したと考え られた. 症 例 1 11 歳,男児.白血球の減少(白血球数 850,リンパ 球数 502/μL,blast 0%)と貧血を認めたため紹介入 院となり,骨髄穿刺で芽球 91%の前駆 B細胞の急性 リンパ性白血病と診断された.治療は日本小児白血病 リンパ腫研究グループ(JPLSG)ALL-B12 プロトコー ルの中等度リスク群として加療された.入院時検査で 水痘ワクチン接種歴や既往歴はなかったが,ウイルス 抗体EIA「デンカ」水痘 IgG(デンカ生研)のキット で測定した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)IgG 抗体 (EIA法)は 2.7(±)(±は 2.0~3.9),IgM抗体 0.16 (-)(陰性は 0.8 未満)であった.免疫抑制者の水痘 は重症化するため,水痘皮内抗原反応でCMI を確認 したところ,発赤径 0mm陰性であった.しかし,寛 解導入療法 day36(診断後 day41)のクリーンルーム 入室中に右大腿に膿痂疹様の水疱に気付き,翌日左上 腕,さらに胸部へと数個ずつ拡大した.クリーンルー ムに 3週間前より隔離されていて,VZVとの接触歴 もなかった.既往歴はないが播種性帯状疱疹を疑い, 水疱から LAMP法でVZVを検出して確定診断した. 発症 3日目のVZV抗体価は IgG 2.9 (±),IgM 0.8 (-) で陽転化していなかった.アシクロビル投与 5日間で 痂皮化した.翌月の早期強化療法 day30(診断後 day 79)にも左右前腕に前回同様の膿痂疹様水疱が数個出 現し,アシクロビルによる治療を実施した.ガンマグ ロブリンの投与はないが,発症 2日目VZV-IgG 5.1 (+),IgM 0.64(-)と陽転化していた.さらに約 3 カ月後の再寛解導入療法 day11(診断後 day166)に 左顔面の帯状疱疹を発症した.発症 2日目のVZV-IgG 9.9(+),IgM 0.45(-)であったが,その 2カ月後 IgG 90.9(+),IgM 0.28(-)と IgG 抗体は著増し ていた.インターフェロン γ(IFN)遊離法で測定し たCMI は,IFN 61.0pg/mL(陽性は 10pg/mL以上) と陽転していた.抗原は水痘ワクチンを紫外線照射で 不活化して使用した. 症 例 2 18 歳,女子大学生.VZV免疫に関する研究ボラン ティア(川崎医大で承認 625-3)の対象となり,同意 を得て採血した.VZV-IgG 抗体 1.0(-)と,IFNは 0pg/mLで CMI 陰性が確認された.水痘ワクチン接 種歴はなかったが,2歳で水痘(兄弟から感染)の自 然感染歴があった.水痘ワクチン接種後抗体価は IgM 0.38(-),IgG 3.0(±)であったが,IFNは 252.1pg/ mL と著増した.抗体陰性者のワクチン接種後 IFN (Mean±SD)は 32.6±51.7pg/mL であった. 短 報