{"title":"再生可能資源からの高分子量ポリ- L -乳酸の工業的製造法開発","authors":"仁実 小原, 久嗣 奥山, 誠治 澤, 康宏 藤井, 檜山 圭一郎","doi":"10.1246/NIKKASHI.2001.323","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"本開発は,植物が生産する糖質という再生可能な資源を用い,はん用プラスチックとして使用できる物性を持った高分子量のポリ-L-乳酸を工業的に製造する方法に関するものである.フィルムや繊維などで延伸配向の効果を出すためには結晶性の高いポリ-L-乳酸が必要である.そのためには光学純度の高いL-乳酸が原料として必要である.また,ポリ-L-乳酸を安価なはん用プラスチックとして普及させるためには原料も安価でなければならない.そこで栄養要求性の低いBacillus属を用い光学純度99.0%のL-乳酸を製造する技術を開発した.L-乳酸からポリ-L-乳酸を工業的に合成する工程として,脱水縮合によって合成したプレポリマーから分子内エステル交換反応によって中間原料であるLL-ジラクチドを合成する方法を開発した.まず,LL-ジラクチドの収率を向上させるため乳酸の直鎖1–3量体を全還流させながら脱水縮合を行い,さらにL-乳酸のラセミ化を防止するため反応器温度を135,150,160 °Cと三段階に上昇させる方法を開発した.検討したLL-ジラクチドを合成するための触媒の中では2-エチルヘキサン酸スズが最も活性が高く,かつ得られたLL-ジラクチドの光学純度も高かった.高分子量のポリ乳酸を製造するためには,LL-ジラクチドの純度を上げねばならない.LL-ジラクチドの精製法として環境への負荷を考慮して無溶剤の溶融晶析法を開発した.LL-ジラクチドの開環重合は無溶剤で連続的に行い,重量平均分子量18–20万のポリ-L-乳酸が得られた.また,本研究では得られたポリ乳酸の物性を明らかにするとともに,コンポスト中での分解挙動を調べた.","PeriodicalId":19311,"journal":{"name":"Nippon Kagaku Kaishi","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2001-06-10","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"12","resultStr":"{\"title\":\"再生可能資源からの高分子量ポリ- L -乳酸の工業的製造法開発\",\"authors\":\"仁実 小原, 久嗣 奥山, 誠治 澤, 康宏 藤井, 檜山 圭一郎\",\"doi\":\"10.1246/NIKKASHI.2001.323\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"本開発は,植物が生産する糖質という再生可能な資源を用い,はん用プラスチックとして使用できる物性を持った高分子量のポリ-L-乳酸を工業的に製造する方法に関するものである.フィルムや繊維などで延伸配向の効果を出すためには結晶性の高いポリ-L-乳酸が必要である.そのためには光学純度の高いL-乳酸が原料として必要である.また,ポリ-L-乳酸を安価なはん用プラスチックとして普及させるためには原料も安価でなければならない.そこで栄養要求性の低いBacillus属を用い光学純度99.0%のL-乳酸を製造する技術を開発した.L-乳酸からポリ-L-乳酸を工業的に合成する工程として,脱水縮合によって合成したプレポリマーから分子内エステル交換反応によって中間原料であるLL-ジラクチドを合成する方法を開発した.まず,LL-ジラクチドの収率を向上させるため乳酸の直鎖1–3量体を全還流させながら脱水縮合を行い,さらにL-乳酸のラセミ化を防止するため反応器温度を135,150,160 °Cと三段階に上昇させる方法を開発した.検討したLL-ジラクチドを合成するための触媒の中では2-エチルヘキサン酸スズが最も活性が高く,かつ得られたLL-ジラクチドの光学純度も高かった.高分子量のポリ乳酸を製造するためには,LL-ジラクチドの純度を上げねばならない.LL-ジラクチドの精製法として環境への負荷を考慮して無溶剤の溶融晶析法を開発した.LL-ジラクチドの開環重合は無溶剤で連続的に行い,重量平均分子量18–20万のポリ-L-乳酸が得られた.また,本研究では得られたポリ乳酸の物性を明らかにするとともに,コンポスト中での分解挙動を調べた.\",\"PeriodicalId\":19311,\"journal\":{\"name\":\"Nippon Kagaku Kaishi\",\"volume\":null,\"pages\":null},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2001-06-10\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"12\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nippon Kagaku Kaishi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.1246/NIKKASHI.2001.323\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nippon Kagaku Kaishi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1246/NIKKASHI.2001.323","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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