{"title":"Evacuation Process for a Long Pipe using ‘Horikoshi-Model’","authors":"O. Okada","doi":"10.3131/jvsj2.60.228","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"水分子は吸着性の分子で,真空装置の排気過程で重要な役 割をすることは,真空技術において良く知られている.その 吸着性の分子の振る舞いを具体的に記述するモデルとして 「堀越モデル」1)があるが,残念ながら良く知られているとは 言えない.それには,いろいろな歴史的な事情が絡んでいる と思うが,ここでは次の点を指摘しておきたい.第一には, 日本における最も著名な真空の教科書は,今でも,熊谷らに よる「真空の物理と応用」2)であるが,この教科書が出版さ れたのは1970年で,堀越はこの本の共著者の一人である が,堀越モデルはまだ提案されていなかったので,記述され ていない.1970年以降,日本の真空教科書は,この教科書 に基づき,その後の真空技術の進歩を付け加える形で記述さ れてきているように見える.私は,堀越モデルは付け加えら れるべきであった,と考えるが,どういうわけか堀越モデル について日本の教科書には殆ど記述されていない.第二に, 「堀越モデル」が日本発のモデルであるためか,あるいは微 妙な解釈の違いのためか,やはり理由は私には良く解らない が,外国の真空の教科書にも,殆ど堀越モデルの記述がない ようである.第三に,堀越モデルは,本人によって,「真空 排気とガス放出」3)に詳しい解説がなされている.しかしな がら,その解説では,簡単のためと思われるが,吸着分子の 付着係数を 1 としている.そのため,分子の振る舞いが現 実離れしており,このモデルが実際の現象に適用できるよう に感じられない.堀越自身が,このモデルを,単に考え方を 説明するためのものでしかなく,現実的なものであると思っ ていなかった可能性がある. 堀越モデルによって,実際の排気が記述できる場合がある ことは,最近になって報告されている4).また,排気におけ る準平衡状態の成立にこのモデルが必要であることは,松田 によって指摘されている5).武安らは排気曲線の解析により 吸着密度分布を導くことができることを報告している6)が, これを理解するためにも堀越モデルは基本的である.堀越モ デルの重要性は増していると思う. ここでは,堀越モデルで,特に滞在時間が長い場合を詳細 に述べ,排気曲線にどのような特徴がなぜ現れるか説明す る.それをもとに,長い配管の排気になぜ長時間必要である かを考察する.またビルドアップにこのモデルを拡張する. これにより,吸着性の分子の真空中の振る舞いの理解に,堀 越モデルが大切であることを述べる.","PeriodicalId":17344,"journal":{"name":"Journal of The Vacuum Society of Japan","volume":"39 1","pages":"228-233"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2017-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of The Vacuum Society of Japan","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3131/jvsj2.60.228","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}