{"title":"igg4相关疾病的难治性慢性鼻窦炎","authors":"Y. Ota","doi":"10.5648/jjiao.38.87","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"症例 1は 47歳男性である。2年前より慢性的に鼻閉,鼻 漏,咳嗽症状を認めた。1年ほど保存的に加療したが症状 改善を認めず,当科紹介受診となった。気管支喘息の既往 は無い。初診時鼻内視鏡所見では,両側下鼻甲介粘膜蒼白 であったが,鼻茸などは認められず,中等度の鼻漏,後鼻 漏を認めた。副鼻腔Computed Tomography (CT) では,両 上顎洞の軟部陰影,両篩骨洞の軟部組織陰影を認めた (図 1)。血液検査所見では,IgE 100 IU/mlと正常であり, 血中好酸球は 3.7%と正常範囲であった。鼻症状の改善を なかなか認めないため,IgG4を測定したところ,血清 IgG 1473 mg/dl, IgG4 306 mg/dlと,IgG4高値を示していた。 診断および治療目的に全身麻酔下に両側鼻内視鏡下鼻副 鼻腔手術を施行したところ,左上顎洞には膿汁の貯留を認 めたが,篩骨洞上顎洞の粘膜腫脹は両側とも軽度であっ た。手術検体による病理組織検査では,Hematoxylin Eosin (HE)染色でリンパ球,形質細胞や繊維化病変を認め,好 酸球浸潤は少数のみであった。免疫組織染色では IgG/IgG4 比 40%以上,強拡大で 10個以上の IgGおよび IgG4陽性形 質細胞を認め(図 2:1–3),IgG4関連疾患の包括的診断基 準を満たした。IgG4関連疾患が考えられたため,全身検 索を行ったが,眼窩外側部の腫脹や唾液腺腫脹の出現はな く,全身 CTでも他臓器に IgG4関連疾患を示唆する所見 もなく,病変は鼻副鼻腔だけであった。手術後鼻閉症状は 軽快したが,鼻腔分泌物の多さは遷延し,後鼻漏,咳嗽症 状が継続した。現在鼻洗浄や鼻噴霧型ステロイド,吸入ス テロイド /長時間作用型 β刺激薬(ICS/LABA)配合剤, CAMの少量長期投与などで外来経過観察中である。 症例 2は 42歳男性。両側鼻閉,嗅覚消失,両側顎下部 の腫脹で当科を受診した。初診時両側鼻腔に鼻茸が認めら れ(図3),両側の顎下部,眼窩外側部の腫脹も認められた。 CTでは両側の汎副鼻腔炎,両側顎下腺,涙腺の腫脹が認 められた(図 4)。血液検査では,血清総 IgE 380 IU/mL, IgG4 383 mg/dL, と高値を示し,血中好酸球は 6.3%と正常 範囲内であった。血清抗デスモグレイン 3抗体は 4390 U/ml と高値を示した。 2020年 10月 18日受稿 別冊請求先:太田 康 〒285-8741 千葉県佐倉市下志津 564-1 東邦大学医学部耳鼻咽喉科学講座(佐倉) TEL: 043-462-8811 E-mail: Yasushiota5610@yahoo.co.jp IgG4関連の難治性慢性鼻副鼻腔炎","PeriodicalId":204414,"journal":{"name":"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology","volume":"5 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1900-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Refractory chronic rhinosinusitis of IgG4-related disease\",\"authors\":\"Y. Ota\",\"doi\":\"10.5648/jjiao.38.87\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"症例 1は 47歳男性である。2年前より慢性的に鼻閉,鼻 漏,咳嗽症状を認めた。1年ほど保存的に加療したが症状 改善を認めず,当科紹介受診となった。気管支喘息の既往 は無い。初診時鼻内視鏡所見では,両側下鼻甲介粘膜蒼白 であったが,鼻茸などは認められず,中等度の鼻漏,後鼻 漏を認めた。副鼻腔Computed Tomography (CT) では,両 上顎洞の軟部陰影,両篩骨洞の軟部組織陰影を認めた (図 1)。血液検査所見では,IgE 100 IU/mlと正常であり, 血中好酸球は 3.7%と正常範囲であった。鼻症状の改善を なかなか認めないため,IgG4を測定したところ,血清 IgG 1473 mg/dl, IgG4 306 mg/dlと,IgG4高値を示していた。 診断および治療目的に全身麻酔下に両側鼻内視鏡下鼻副 鼻腔手術を施行したところ,左上顎洞には膿汁の貯留を認 めたが,篩骨洞上顎洞の粘膜腫脹は両側とも軽度であっ た。手術検体による病理組織検査では,Hematoxylin Eosin (HE)染色でリンパ球,形質細胞や繊維化病変を認め,好 酸球浸潤は少数のみであった。免疫組織染色では IgG/IgG4 比 40%以上,強拡大で 10個以上の IgGおよび IgG4陽性形 質細胞を認め(図 2:1–3),IgG4関連疾患の包括的診断基 準を満たした。IgG4関連疾患が考えられたため,全身検 索を行ったが,眼窩外側部の腫脹や唾液腺腫脹の出現はな く,全身 CTでも他臓器に IgG4関連疾患を示唆する所見 もなく,病変は鼻副鼻腔だけであった。手術後鼻閉症状は 軽快したが,鼻腔分泌物の多さは遷延し,後鼻漏,咳嗽症 状が継続した。現在鼻洗浄や鼻噴霧型ステロイド,吸入ス テロイド /長時間作用型 β刺激薬(ICS/LABA)配合剤, CAMの少量長期投与などで外来経過観察中である。 症例 2は 42歳男性。両側鼻閉,嗅覚消失,両側顎下部 の腫脹で当科を受診した。初診時両側鼻腔に鼻茸が認めら れ(図3),両側の顎下部,眼窩外側部の腫脹も認められた。 CTでは両側の汎副鼻腔炎,両側顎下腺,涙腺の腫脹が認 められた(図 4)。血液検査では,血清総 IgE 380 IU/mL, IgG4 383 mg/dL, と高値を示し,血中好酸球は 6.3%と正常 範囲内であった。血清抗デスモグレイン 3抗体は 4390 U/ml と高値を示した。 2020年 10月 18日受稿 別冊請求先:太田 康 〒285-8741 千葉県佐倉市下志津 564-1 東邦大学医学部耳鼻咽喉科学講座(佐倉) TEL: 043-462-8811 E-mail: Yasushiota5610@yahoo.co.jp IgG4関連の難治性慢性鼻副鼻腔炎\",\"PeriodicalId\":204414,\"journal\":{\"name\":\"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology\",\"volume\":\"5 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"1900-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.5648/jjiao.38.87\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.5648/jjiao.38.87","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Refractory chronic rhinosinusitis of IgG4-related disease
症例 1は 47歳男性である。2年前より慢性的に鼻閉,鼻 漏,咳嗽症状を認めた。1年ほど保存的に加療したが症状 改善を認めず,当科紹介受診となった。気管支喘息の既往 は無い。初診時鼻内視鏡所見では,両側下鼻甲介粘膜蒼白 であったが,鼻茸などは認められず,中等度の鼻漏,後鼻 漏を認めた。副鼻腔Computed Tomography (CT) では,両 上顎洞の軟部陰影,両篩骨洞の軟部組織陰影を認めた (図 1)。血液検査所見では,IgE 100 IU/mlと正常であり, 血中好酸球は 3.7%と正常範囲であった。鼻症状の改善を なかなか認めないため,IgG4を測定したところ,血清 IgG 1473 mg/dl, IgG4 306 mg/dlと,IgG4高値を示していた。 診断および治療目的に全身麻酔下に両側鼻内視鏡下鼻副 鼻腔手術を施行したところ,左上顎洞には膿汁の貯留を認 めたが,篩骨洞上顎洞の粘膜腫脹は両側とも軽度であっ た。手術検体による病理組織検査では,Hematoxylin Eosin (HE)染色でリンパ球,形質細胞や繊維化病変を認め,好 酸球浸潤は少数のみであった。免疫組織染色では IgG/IgG4 比 40%以上,強拡大で 10個以上の IgGおよび IgG4陽性形 質細胞を認め(図 2:1–3),IgG4関連疾患の包括的診断基 準を満たした。IgG4関連疾患が考えられたため,全身検 索を行ったが,眼窩外側部の腫脹や唾液腺腫脹の出現はな く,全身 CTでも他臓器に IgG4関連疾患を示唆する所見 もなく,病変は鼻副鼻腔だけであった。手術後鼻閉症状は 軽快したが,鼻腔分泌物の多さは遷延し,後鼻漏,咳嗽症 状が継続した。現在鼻洗浄や鼻噴霧型ステロイド,吸入ス テロイド /長時間作用型 β刺激薬(ICS/LABA)配合剤, CAMの少量長期投与などで外来経過観察中である。 症例 2は 42歳男性。両側鼻閉,嗅覚消失,両側顎下部 の腫脹で当科を受診した。初診時両側鼻腔に鼻茸が認めら れ(図3),両側の顎下部,眼窩外側部の腫脹も認められた。 CTでは両側の汎副鼻腔炎,両側顎下腺,涙腺の腫脹が認 められた(図 4)。血液検査では,血清総 IgE 380 IU/mL, IgG4 383 mg/dL, と高値を示し,血中好酸球は 6.3%と正常 範囲内であった。血清抗デスモグレイン 3抗体は 4390 U/ml と高値を示した。 2020年 10月 18日受稿 別冊請求先:太田 康 〒285-8741 千葉県佐倉市下志津 564-1 東邦大学医学部耳鼻咽喉科学講座(佐倉) TEL: 043-462-8811 E-mail: Yasushiota5610@yahoo.co.jp IgG4関連の難治性慢性鼻副鼻腔炎