{"title":"在自家浴池受伤的高龄者灼伤","authors":"Shoko FURUSHO, Yosuke KUBO, Yuichiro YOSHINO","doi":"10.2336/nishinihonhifu.85.387","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"現代の日本では,高齢化や核家族化で独居の高齢者や高齢者のみの家庭が増加している。今回,93 歳女性の浴槽での熱傷の症例を経験した。ADL が自立していた患者であったが,熱傷を契機に,全身状態が悪化し不幸な転帰をたどった。この症例より浴槽での熱傷の危険性を痛感し,当院での過去 5 年間の症例を検討した。当院で入院加療を行った 65 歳以上の浴槽での受傷例 10 例を対象とし,後ろ向きに検討した。ほとんどがⅡ度熱傷であったが,8 例で手術が必要であった。基礎疾患は数多く認めたが ADL は全例自立していた。転帰は死亡例が 2 例,残り 8 例はリハビリテーションや介護が必要な状態で転院となった。また,浴槽での熱傷は褥瘡の好発部位と類似するため治療経過で褥瘡を形成した 3 例についても検討した。10 例の検討により,浴槽での熱傷は治療に難渋することが多く,ADL の回復が極めて難しいことが分かった。浴槽での熱傷は本人からの聴取のみしか現場での詳細が不明なことが多く,時に高齢者では受傷起点がはっきりしないことが多い。如何に受傷を減らせるかについて検討した文献や報告は少ない。今回の検討では給湯器や水栓の誤操作が目立ったことから,高齢者の浴槽での事故を防ぐためには,浴室環境を整えること,「高齢者見守りツール」の活用や,行政や社会福祉施設を利用した環境調整が大事であると考えた。皮膚科医の視点から,浴槽での受傷を減らすための啓発について考察した。","PeriodicalId":19437,"journal":{"name":"Nishi Nihon Hifuka","volume":"23 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2023-10-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"自宅浴槽で受傷した高齢者熱傷\",\"authors\":\"Shoko FURUSHO, Yosuke KUBO, Yuichiro YOSHINO\",\"doi\":\"10.2336/nishinihonhifu.85.387\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"現代の日本では,高齢化や核家族化で独居の高齢者や高齢者のみの家庭が増加している。今回,93 歳女性の浴槽での熱傷の症例を経験した。ADL が自立していた患者であったが,熱傷を契機に,全身状態が悪化し不幸な転帰をたどった。この症例より浴槽での熱傷の危険性を痛感し,当院での過去 5 年間の症例を検討した。当院で入院加療を行った 65 歳以上の浴槽での受傷例 10 例を対象とし,後ろ向きに検討した。ほとんどがⅡ度熱傷であったが,8 例で手術が必要であった。基礎疾患は数多く認めたが ADL は全例自立していた。転帰は死亡例が 2 例,残り 8 例はリハビリテーションや介護が必要な状態で転院となった。また,浴槽での熱傷は褥瘡の好発部位と類似するため治療経過で褥瘡を形成した 3 例についても検討した。10 例の検討により,浴槽での熱傷は治療に難渋することが多く,ADL の回復が極めて難しいことが分かった。浴槽での熱傷は本人からの聴取のみしか現場での詳細が不明なことが多く,時に高齢者では受傷起点がはっきりしないことが多い。如何に受傷を減らせるかについて検討した文献や報告は少ない。今回の検討では給湯器や水栓の誤操作が目立ったことから,高齢者の浴槽での事故を防ぐためには,浴室環境を整えること,「高齢者見守りツール」の活用や,行政や社会福祉施設を利用した環境調整が大事であると考えた。皮膚科医の視点から,浴槽での受傷を減らすための啓発について考察した。\",\"PeriodicalId\":19437,\"journal\":{\"name\":\"Nishi Nihon Hifuka\",\"volume\":\"23 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2023-10-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nishi Nihon Hifuka\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2336/nishinihonhifu.85.387\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nishi Nihon Hifuka","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2336/nishinihonhifu.85.387","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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