{"title":"Rhus屬樹種の研究(第三報) ハゼノキの果實の發育とその構造に就て","authors":"盛重 原田","doi":"10.4005/JJFS1919.15.398","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"1) 若き果實の外果皮の水平斷面は、略々四角形をなせる薄膜細胞よりなれども、成熟後は細胞膜が肥厚し、多くのcanalを有す。2) 中果皮には大小幾多の樹脂道が存在し、果軸基部より上方の花柱痕に向ひ、互に平行的に走れり、而してその數は果實の發育に伴ひて増加し、大なる樹脂道は外方に小なる樹脂道は所々に點在す。3) 極めて若き果實にありては、樹脂道は柔膜細胞鞘を有せざるも、發育するに從ひてこれを有するに至る、この柔膜細胞鞘の厚さは、成熟せる果實にありては0.2mm以上に逹するものあり、その内側にある細胞は半徑方向に伸び、外側にあるものは接線方向に伸ぶ、而してその細胞鞘の各細胞の増大によりて、樹脂道が殆ど楕圓形をなすか又は不規則なる形態をなす。4) 中果皮は蝋分を有す、この蝋分の堆積は八月中旬頃より始まり、同化組織、厚膜細胞、維管束及び柔膜細胞鞘を除く他の柔細胞は殆どこれを有す、果實の成熟するに及び、この蝋分は蝋殻を形成す。との蝋殻の形成によりて、細胞の1umenは狹小となり、形状は著しく不規則となる。5) 内果皮は四層よりなる、最も若き果實にありては第一層、第二層、第三層の各細胞は横斷面に於ては略々四角形をなし、その形状は殆ど相類似するも、第四層の細胞は比較的大にして、その長さは他の細胞の長さの二倍に逹す。各層の細胞は、核を含む顆粒状の原形質を有す。6) 成熟せる果實の内果皮の第一層は短小にして、各細胞は一の結晶を有す。第二層の細胞は長さ約0.17mmにして、横斷面は多角形をなす、細胞膜の肥厚せるため細胞のlumenは極めて小なり、第三層の各細胞の形状は、第二層に類するも短小なり、第四層は約0.35mmの厚さを有す。細胞は水平斷面に於ては不規則なる形状をなし、一の細胞の分岐は他の細胞の分岐と互に縫合す、又横斷面に於ても,不整形分岐細胞よりなり、細胞のlumenは狹く紐状となり、多くのporen canalを分岐せり。7) 種子の表皮細胞膜は水平斷面に於ては、珠數状に肥厚せり、胚乳は不規則なる扁平細胞よりなり、多くの蛋白質及び脂肪を有す。8) 子葉は二枚にして淡黄色を呈す、長さ5~6mm,幅3~4mm,厚さ1~1.2mmなり、上側には二層の柵状組織あり、これに接して小なる樹脂道5~13個存在す。9) 胚軸は長さ3~3.5mm,厚さ約0.6mmなり、胚軸の周邊部は小なる細胞よりなれども、中心部は多角形の稍々大なる細胞よりなる、胚軸内の樹脂道は4個にして、下方より上方に向つて直線状に走る。","PeriodicalId":220539,"journal":{"name":"The Journal of the Society of Forestry","volume":"97 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1933-06-10","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The Journal of the Society of Forestry","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.4005/JJFS1919.15.398","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}