原子力災害を始めとする特殊災害への従事意図は低いことが著者らの先行研究で示されており,その人材確保は喫緊の課題である 1。特殊災害への従事を避ける理由として,自信のなさが影響している 2。そのため安定した人材確保に向け,自信をもって活動できるよう十分な教育が必要である 1, 3, 4。 世界でも代表的な原子力災害の一つである福島第一原子力発電所事故(福島事故)から10年以上が経過し,全国的にもその認識は過去のものとなりつつある。そのため,福島事故の経験や教訓を後世に正しく伝承し,自信をもって災害対応ができる人材の育成は,本邦のみならず世界的にも重要な使命である。そこで我々は,福島事故の経験や教訓を活かした救急・災害対応セミナーを多数開催してきたが,COVID–19の影響で対面式での教育・訓練が実施不可能となった。その結果,特殊災害対応者に,災害活動への自信を備えさせる教育の場が失われてしまった。 上述の経緯から,我々は救急・災害対応訓練が行えるシミュレーションソフトを開発し,ソフト内で自身のアバターを操作することで,web上で訓練を行える教育方法の開発に着手した。 本研究の目的は従事意図の低い特殊災害において,従事者の十分な人材確保を最終目的とし,“活動への自信”を身につける教育を提供するとともに,物理的距離の離れた場所でも一様に受講可能なシミュレーション教育として提供することを目指す。そのため,本研究では救急・災害対応訓練のシミュレーションソフトを開発し,その訓練内容について検討した。 本稿は福島県立医科大学倫理委員会の承認のもと行われた研究である(承認番号:2021–236)。また本稿では個人が特定不可能なように情報を匿名化して用いた。 福島・長崎の共同大学院災害・被ばく医療科学共同専攻(修士課程)の学生9名を対象に,座学で特殊災害の初期対応について講義を行った後,我々が開発した3D(3–dimention)版シミュレーションソフト(Kawauchi Legends 3D)と,VR(virtual reality)版シミュレーションソフト(Kawauchi Legends VR)を用いた実習を行った。3D版では自身のアバターをPC上の仮想空間で操作し,web会議ツールを併用して災害時の原則(CSCATTT)に準じた演習を行った。VR版ではヘッドセットを装着し,コントローラーを操作してメタバース上の原子力発電所構内で傷病者の対応を行う実習を実施した(Fig. 1a–c)。 Web–based training using simulation software. a: The practical training using 3D version software with web meeting application. b: The practical training with VR version software. c: Player’s view during the training with VR version software. 実習後に3D版VR版それぞれの操作性や学習できる内容についてアンケート調査を行った。ソフトに関するアンケート設問に対して,それぞれどの程度そう思うかを10点=とてもそう思う,1点=全くそう思わない,の10段階で回答を得た。アンケート結果から記述統計を行い,シミュレーションソフトを用いた教育における現状について検討した。 3D版およびVR版シミュレーションソフトを操作した感想について,両者の操作はともに比較的容易であり,web実習の満足度も比較的高かった(Table 1)。一方で,実習がこれまでの対面で行う机上演習や実動訓練に代替されるかという問に対しては,一部代替可能だが完全ではないことが明らかとなった(Q1–4, Q1–5, Q2–4, Q2–5)。3D版,VR版ともに知識や技術が備わったと実感しており(Q1–3, Q2–3),楽しみながら学習することができ,満足度の高いweb実習であった(Q1–2, Q1–6, Q2–2, Q2–6)。 3D版とVR版では学習できる内容についてそれぞれ一長一短があり,両者を使い分けることで効率的に学ぶことができると考えられる。学習において“楽しい”と思えることは重要であり,今回の実習では3D版,VR版ともに楽しさを実感し,実習の満足度も高かった。しかし,実際の机上演習や実動訓練をすべてこのweb実習で代替できるわけではなく,web実習の限界も明らかになった。資機材準備の労力や使用方法(テント設営など)の実技上のコツと課題をwebで体験することは難しく,それらは対面式の訓練に代替する手段がないのが現状である。一方で,原子力発電所構内のように環境放射線量が高く,薄暗くて狭い特殊な環境での訓練は,健康・安全管理の面から対面式訓練の実現は困難である。そのような特殊環境での活動を事前にVR版を用いて疑似体験しておくことで,実際に発災した際の活動を円滑化できる可能性があると考えられる。今回は大学院生という基礎知識や意欲の比較的高い集団が対象であったが,今後は対象を原子力災害拠点病院などの医療従事者に拡大し,セミナー数と参加者数の双方を増加させることでより客観性の高い評価を行い,それを実習内容に反映することで満足度と達成度の双方を担保した質の高い教育機会を提供していきたい。また,代替可能な訓練をweb実習化し対面前に履修することで,対面実習の質・時間の効率化・最適化を図っていきたい。 3D版,VR版原子力災害対応訓練用シミュレーションソフトを対面実習と併用することで,対面実習では経験不可能な環境における活動の疑似体験が可能となった。本ソフトにより多くの災害対応者が特殊災害に対する“活動への自信”を備えるきっかけになる可能性がある。 長谷川は大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業(2020~2022年度)およびふくしま国際医療科学センター拠点プロジェクト研究費(2022年度)より,井山は丸茂救急医学振興財団より支援を受け,本ソフトウエアの開発と運用を行った。 本事業の実務に参画いただいている福島県立医科大学の内藤和樹氏,朝倉ハルミ氏,Elena Ryzhii氏に紙面を借りて感謝申し上げたい。また読者の皆様に本ソフトを安全かつ簡便に御利用いただけるよう現在ソフトの改良を進めている。ご興味をお持ちいただいた先生方は責任著者に御連絡いただけると幸いである。
作者们的先行研究表明,从事核灾害等特殊灾害的意图较低,因此确保相关人才是紧迫的课题。作为避免从事特殊灾害的理由,缺乏自信是有影响的2。因此,为了确保稳定的人才,必须进行充分的教育,使其能够自信地开展工作。世界上具有代表性的核灾害之一福岛第一核电站事故(福岛事故)已经过去了10多年,在全国范围内这种认识也逐渐成为过去。因此,将福岛事故的经验和教训正确地传承给后代,培养有自信地应对灾害的人才,不仅是本国家的重要使命,在全世界也是重要的使命。因此,我们曾多次召开了借鉴福岛事故经验教训的急救和灾害应对研讨会,但由于COVID - 19的影响,无法实施面对面的教育和训练。结果,丧失了给特殊灾害应对者树立灾害活动自信的教育场所。综上所述,我们开发了能够进行急救和灾害应对训练的模拟软件,并着手开发通过在软件内操作自己的化身,在web上进行训练的教育方法。本研究的目的是,在从业意图较低的特殊灾害中,以确保从业人员的充分人才为最终目的,提供培养“对活动的自信”的教育。目标是提供即使在物理距离远的地方也能同样听讲的模拟教育。为此,本研究开发了急救、灾害应对训练的模拟软件,并对其训练内容进行了探讨。本文是在福岛医科大学伦理委员会的批准下进行的研究(批准号:2021—236)。另外,在本文中,以个人无法特定的方式匿名化使用了信息。以福岛长崎共同研究生院灾害与辐射医疗科学共同专业(硕士课程)的9名学生为对象,在讲座中就特殊灾害的初期应对进行了讲解。我们开发的3d (3 - dimention)版模拟软件(卡瓦奇传奇3d),使用VR (virtual reality)版模拟软件(Kawauchi Legends VR)进行了实习。3d版则是在PC上的虚拟空间操作自己的虚拟化身,同时使用web会议工具,按照灾害时的原则(CSCATTT)进行了练习。VR版则是戴上头戴式设备,操作控制器,在麦塔巴斯上的核电站内进行了应对伤员的实习(Fig. 1a - c)。Web -基本训练模拟软件. a:3d版本software with web meeting application. b:VR版本software. c:Player’s view during the training with VR版本software.实习后分别对3d版和VR版的操作性和可学习内容进行了问卷调查。对于关于软件的问卷调查,分别以10分=非常认为,1分=完全不认为的10个等级来回答这样认为的程度。对问卷调查结果进行了记述统计,并对使用模拟软件的教育现状进行了探讨。对于操作3d版和VR版模拟软件的感受,两者的操作都比较容易,web实习的满意度也比较高(Table 1)。另一方面,对于“实习是否会被目前面对面进行的桌面训练和实际行动训练所代替”的问题,调查结果表明,虽然可以部分代替,但并不完全可以代替(Q1 - 4、Q1 - 5、Q2 - 4、Q2 - 5)。无论是3d版还是VR版,都能切实感受到自己已经掌握了相关知识和技术(Q1 - 3、Q2 - 3),可以边享受边学习,是一份令人满意的web实习(Q1 - 2、Q1 - 6、Q2 - 2、Q2 - 6)。3d版和VR版在可学习内容方面各有利弊,两者分开使用可以提高学习效率。在学习中“快乐”是很重要的,这次的实习3d版和VR版都感受到了乐趣,实习的满意度也很高。但是,实际的桌面练习和实际行动训练并不能全部用web实习来代替,web实习的局限性也暴露出来了。在网络上很难体验到准备器材的人力和使用方法(帐篷搭建等)的实际操作上的诀窍和课题,这些都是无法替代面对面式训练的手段。另一方面,在核电站内这种环境辐射量高、昏暗狭窄的特殊环境下训练,从健康和安全管理的角度考虑,实现面对面式训练很困难。通过事先利用VR版模拟体验这种特殊环境下的活动,有可能使实际发生灾害时的活动更加顺利。这次以研究生这一基础知识和意愿比较高的群体为对象,今后将扩大对象到核灾害据点医院等的医疗工作者,通过增加研讨会数量和参加人数来进行更加客观的评价。我想把这些反映在实习内容上,提供保证满意度和达成度的高质量教育机会。另外,通过将可替代的训练web实习化,在面对面前进修,提高面对面实习的质量和时间的效率和最优化。通过与面对面实习一起使用3d版、VR版核灾害应对训练用模拟软件,可以模拟体验面对面实习无法体验的环境中的活动。本软件有可能成为让更多的灾害应对者具备面对特殊灾害的“活动自信”的契机。长谷川根据活用大学等的“复兴知识”的人才培养基础构筑事业(2020 ~ 2022年度)以及福岛国际医疗科学中心据点项目研究费(2022年度),井山接受了丸茂急救医学振兴财团的支援,进行了本软件的开发和运用。在此,我想向参与本事业实际工作的福岛县立医科大学的内藤和树先生、朝仓春美先生、Elena Ryzhii先生表示感谢。另外,为了能让各位读者安全且简便地使用本软件,现在正在进行软件的改良。感兴趣的老师们请与责任作者联系。
{"title":"仮想空間でアバターを用いた原子力災害対応シミュレーションソフトによるweb実習(Web–based training using simulation software for nuclear disaster response with avatars in a virtual space)","authors":"井山 慶大, 長谷川 有史","doi":"10.1002/jja2.12847","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12847","url":null,"abstract":"原子力災害を始めとする特殊災害への従事意図は低いことが著者らの先行研究で示されており,その人材確保は喫緊の課題である 1。特殊災害への従事を避ける理由として,自信のなさが影響している 2。そのため安定した人材確保に向け,自信をもって活動できるよう十分な教育が必要である 1, 3, 4。 世界でも代表的な原子力災害の一つである福島第一原子力発電所事故(福島事故)から10年以上が経過し,全国的にもその認識は過去のものとなりつつある。そのため,福島事故の経験や教訓を後世に正しく伝承し,自信をもって災害対応ができる人材の育成は,本邦のみならず世界的にも重要な使命である。そこで我々は,福島事故の経験や教訓を活かした救急・災害対応セミナーを多数開催してきたが,COVID–19の影響で対面式での教育・訓練が実施不可能となった。その結果,特殊災害対応者に,災害活動への自信を備えさせる教育の場が失われてしまった。 上述の経緯から,我々は救急・災害対応訓練が行えるシミュレーションソフトを開発し,ソフト内で自身のアバターを操作することで,web上で訓練を行える教育方法の開発に着手した。 本研究の目的は従事意図の低い特殊災害において,従事者の十分な人材確保を最終目的とし,“活動への自信”を身につける教育を提供するとともに,物理的距離の離れた場所でも一様に受講可能なシミュレーション教育として提供することを目指す。そのため,本研究では救急・災害対応訓練のシミュレーションソフトを開発し,その訓練内容について検討した。 本稿は福島県立医科大学倫理委員会の承認のもと行われた研究である(承認番号:2021–236)。また本稿では個人が特定不可能なように情報を匿名化して用いた。 福島・長崎の共同大学院災害・被ばく医療科学共同専攻(修士課程)の学生9名を対象に,座学で特殊災害の初期対応について講義を行った後,我々が開発した3D(3–dimention)版シミュレーションソフト(Kawauchi Legends 3D)と,VR(virtual reality)版シミュレーションソフト(Kawauchi Legends VR)を用いた実習を行った。3D版では自身のアバターをPC上の仮想空間で操作し,web会議ツールを併用して災害時の原則(CSCATTT)に準じた演習を行った。VR版ではヘッドセットを装着し,コントローラーを操作してメタバース上の原子力発電所構内で傷病者の対応を行う実習を実施した(Fig. 1a–c)。 Web–based training using simulation software. a: The practical training using 3D version software with web meeting application. b: The practical training with VR version software. c: Player’s view during the training with VR version software. 実習後に3D版VR版それぞれの操作性や学習できる内容についてアンケート調査を行った。ソフトに関するアンケート設問に対して,それぞれどの程度そう思うかを10点=とてもそう思う,1点=全くそう思わない,の10段階で回答を得た。アンケート結果から記述統計を行い,シミュレーションソフトを用いた教育における現状について検討した。 3D版およびVR版シミュレーションソフトを操作した感想について,両者の操作はともに比較的容易であり,web実習の満足度も比較的高かった(Table 1)。一方で,実習がこれまでの対面で行う机上演習や実動訓練に代替されるかという問に対しては,一部代替可能だが完全ではないことが明らかとなった(Q1–4, Q1–5, Q2–4, Q2–5)。3D版,VR版ともに知識や技術が備わったと実感しており(Q1–3, Q2–3),楽しみながら学習することができ,満足度の高いweb実習であった(Q1–2, Q1–6, Q2–2, Q2–6)。 3D版とVR版では学習できる内容についてそれぞれ一長一短があり,両者を使い分けることで効率的に学ぶことができると考えられる。学習において“楽しい”と思えることは重要であり,今回の実習では3D版,VR版ともに楽しさを実感し,実習の満足度も高かった。しかし,実際の机上演習や実動訓練をすべてこのweb実習で代替できるわけではなく,web実習の限界も明らかになった。資機材準備の労力や使用方法(テント設営など)の実技上のコツと課題をwebで体験することは難しく,それらは対面式の訓練に代替する手段がないのが現状である。一方で,原子力発電所構内のように環境放射線量が高く,薄暗くて狭い特殊な環境での訓練は,健康・安全管理の面から対面式訓練の実現は困難である。そのような特殊環境での活動を事前にVR版を用いて疑似体験しておくことで,実際に発災した際の活動を円滑化できる可能性があると考えられる。今回は大学院生という基礎知識や意欲の比較的高い集団が対象であったが,今後は対象を原子力災害拠点病院などの医療従事者に拡大し,セミナー数と参加者数の双方を増加させることでより客観性の高い評価を行い,それを実習内容に反映することで満足度と達成度の双方を担保した質の高い教育機会を提供していきたい。また,代替可能な訓練をweb実習化し対面前に履修することで,対面実習の質・時間の効率化・最適化を図っていきたい。 3D版,VR版原子力災害対応訓練用シミュレーションソフトを対面実習と併用することで,対面実習では経験不可能な環境における活動の疑似体験が可能となった。本ソフトにより多くの災害対応者が特殊災害に対する“活動への自信”を備えるきっかけになる可能性がある。 長谷川は大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業(2020~2022年度)およびふくしま国際医療科学センター拠点プロジェクト研究費(2022年度)より,井山は丸茂救急医学振興財団より支援を受け,本ソフトウエアの開発と運用を行った。 本事業の実務に参画いただいている福島県立医科大学の内藤和樹氏,朝倉ハルミ氏,Elena Ryzhii氏に紙面を借りて感謝申し上げたい。また読者の皆様に本ソフトを安全かつ簡便に御利用いただけるよう現在ソフトの改良を進めている。ご興味をお持ちいただいた先生方は責任著者に御連絡いただけると幸いである。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"26 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-10-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"134934939","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"II型呼吸不全に対して脂肪除去術と気管皮膚縫合術を併用した気管切開術を行うことで救命した高度肥満患者の1例(A case of a patient with severe obesity successfully treated for type II respiratory failure by tracheostomy with lipectomy and tracheodermal suture)","authors":"渡邉 敬祐, 伊藤 祐介, 福田 将啓, 橘高 弘忠, 林 靖之, 後藤 縁, 澤野 宏隆","doi":"10.1002/jja2.12840","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12840","url":null,"abstract":"要旨 呼吸不全を呈した高度肥満患者に対する人工呼吸器管理は難渋することが多く,気管切開術を要する場合,難度は高く,重大な合併症に関連する。今回,COVID–19を契機としたII型呼吸不全に対し,脂肪除去術と気管皮膚縫合術を併用した気管切開術にて救命した高度肥満症例を経験した。症例は24歳の男性でBMI 61.5。COVID–19と診断され,急性II型呼吸不全を発症し入院後に人工呼吸器管理が必要になった。経口気管挿管は困難で,ファイバースコープを用いた経鼻気管挿管を行った。鎮静下で調節呼吸を開始したが,無気肺と肺胞低換気のため呼吸性アシドーシスが進行した。無気肺の改善と換気量の増大を得るために,気管切開術を施行して鎮静剤を減量し患者を覚醒させ,自発呼吸の促進や喀痰の自力排出を図るとともに積極的な体位管理を行うことが必要と判断した。皮下脂肪が多く頸部の術野確保は困難で,顎下部と前胸部の脂肪組織を広範囲に除去し,気管を確認し,気管切開後は気管と皮膚を縫合した。術後は自発呼吸と咳嗽により十分な喀痰排出が得られたことで無気肺は解除され,呼吸性アシドーシスも劇的に改善して良好な転帰をたどった。本邦では高度肥満患者は稀であり,BMI 60以上の症例に対する気管切開術や呼吸管理に習熟している医師も少ない。高度肥満患者に対して脂肪除去術を併用した気管切開術を行い,良好な転帰をたどった貴重な症例として報告する。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"64 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-10-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"134934940","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
Clinical utility of the Triage DOA in patients with acute drug intoxication Rie Yamamoto , Takeshi Saito , Hiromichi Aoki , Shinichi Iizuka 2 Kazuki Akieda , Sadaki Inokuchi 1 1 Department of Emergency and Critical Care Medicine, Tokai University School of Medicine 2 Fuji Heavy Industries Health Insurance Society, Ota Memorial Hospital Emergency and Critical Care Medicine Acute drug intoxication is one of the most important fields in emergency medicine, and the specific characteristics of the drug that caused intoxication are critical for determining the most appropriate treatment. Because it is not possible to conduct the quantitative analysis using specialized instrumentation at all medical facilities, handy screening kits that allow for the prompt determination of drug characteristics are now available in many medical facilities. However, screening kits often have limited analytical capacity, and there are false-positive and false-negative in the kits. In the present study, we examined the clinical utility of the Triage DOA kit, as the gold standard for performing quantitative analyses. Patients participating in the study were hospitalized at the Emergency Medical Center of our institution between April 2009 and March 2013. A total of 822 cases of acute drug intoxication were analyzed using quantitative analyses and the Triage DOA. The sensitivity, specificity, false-negative rate, false-positive rate, negative predictive value and positive predictive value of the Triage DOA for detecting and measuring the characteristics of benzodiazepine (BZO), barbituric acid (BAR), tricyclic antidepressant (TCA) and amphetamine (AMP) were examined. The results demonstrated that, although there are some problems the Triage DOA, it was nevertheless effective for the initial screening and treatment selection in our emergency department. However, because the positive predictive value for TCA and AMP was low and the negative predictive value for BZO was low, the results of the Triage DOA tests should therefore be interpreted with great caution in the emergency setting. Moreover, several cases of acute drug intoxication with antipsychotics, selective serotonin reuptake inhibitor and serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor have been reported. These drugs cannot be detected with the Triage DOA. Therefore, it is possible that the individual being tested has used these drugs, even if the screening kit yields negative results. Physicians should therefore carefully consider this possibility when determining the initial treatment option. (JJAAM. 2014; 25: 865-73)
{"title":"急性薬物中毒におけるTriage DOA ® の臨床的有用性","authors":"理絵 山本, 剛 斉藤, 弘道 青木, 進一 飯塚, 一基 秋枝, 貞樹 猪口","doi":"10.3893/JJAAM.25.865","DOIUrl":"https://doi.org/10.3893/JJAAM.25.865","url":null,"abstract":"Clinical utility of the Triage DOA in patients with acute drug intoxication Rie Yamamoto , Takeshi Saito , Hiromichi Aoki , Shinichi Iizuka 2 Kazuki Akieda , Sadaki Inokuchi 1 1 Department of Emergency and Critical Care Medicine, Tokai University School of Medicine 2 Fuji Heavy Industries Health Insurance Society, Ota Memorial Hospital Emergency and Critical Care Medicine Acute drug intoxication is one of the most important fields in emergency medicine, and the specific characteristics of the drug that caused intoxication are critical for determining the most appropriate treatment. Because it is not possible to conduct the quantitative analysis using specialized instrumentation at all medical facilities, handy screening kits that allow for the prompt determination of drug characteristics are now available in many medical facilities. However, screening kits often have limited analytical capacity, and there are false-positive and false-negative in the kits. In the present study, we examined the clinical utility of the Triage DOA kit, as the gold standard for performing quantitative analyses. Patients participating in the study were hospitalized at the Emergency Medical Center of our institution between April 2009 and March 2013. A total of 822 cases of acute drug intoxication were analyzed using quantitative analyses and the Triage DOA. The sensitivity, specificity, false-negative rate, false-positive rate, negative predictive value and positive predictive value of the Triage DOA for detecting and measuring the characteristics of benzodiazepine (BZO), barbituric acid (BAR), tricyclic antidepressant (TCA) and amphetamine (AMP) were examined. The results demonstrated that, although there are some problems the Triage DOA, it was nevertheless effective for the initial screening and treatment selection in our emergency department. However, because the positive predictive value for TCA and AMP was low and the negative predictive value for BZO was low, the results of the Triage DOA tests should therefore be interpreted with great caution in the emergency setting. Moreover, several cases of acute drug intoxication with antipsychotics, selective serotonin reuptake inhibitor and serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor have been reported. These drugs cannot be detected with the Triage DOA. Therefore, it is possible that the individual being tested has used these drugs, even if the screening kit yields negative results. Physicians should therefore carefully consider this possibility when determining the initial treatment option. (JJAAM. 2014; 25: 865-73)","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"31 3","pages":"865-873"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2014-12-15","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"91420960","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}